toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

オーストラリアの選挙制度「ヘア・クラーク制」について学ぶ

[民主主義の危機]オーストラリアの選挙制度「ヘア・クラーク制」について学ぶ

<注>これは下記の記事(●)関連で、一部からご照会があったので追加・補足的に調査した結果です。


●シリーズ「民主主義のガバナンス」を考える(4/4)
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050405


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(1)オーストラリアの選挙制度「ヘア・クラーク制」の実態


[登録と投票の義務]


有権者の登録(1911〜)と投票(1925〜)が義務づけられている。


●制度が導入される直前(1922)の連邦選挙では、上院57.95%、下院59.38%であった投票率が、導入直後(1925)の選挙では、上院91.31%、下院91.38%と大幅に上昇した。


●選挙人名簿への登録(選挙権が発生してから21日以内)や正当な理由無く投票を怠った場合、登録は最高50豪ドル(選挙法101条)、投票は20豪ドルから最高50豪ドル(選挙法245条)の罰金が課せられる。


[下院議員選出の投票]


●全優先順位付連記投票制(Full Preferential Voting)によって行われる。


●立候補者全員に、1、2、3・・・と番号を付けて投票する。全立候補者に番号を付けることが強制されており、全部に番号が入らない票は無効投票となる。


●開票の結果、第一順位票の過半数を得票した候補者がいれば、この候補者が当選する。小選挙区であるから、当選は1名だけになる。


過半数を得票した候補者がいない場合は、先ず第一順位で得票が最下位であった候補者が除外される。そして、この候補者の得票は、記入されている第二順位の得票割合に従って残りの候補者に配分される。その結果、過半数を得票した候補者がいれば、この候補者が当選する。


[上院議員選出の投票]


上院議員の選挙は、下院議員選出の場合の一つの選挙区から一人の議員が選ばれる小選挙区とは異なり、各州や特別地域、準州の全体を一つの選挙区とした大選挙区で行われる。


●更に、投票の方法には、優先順位付連記制を併用した移譲式比例代表制(Proprtional Representation/1948〜)と呼ばれる制度が採用されている。・・・・(以下は省略)・・・・・・


<注>この内容についての詳細は、下記の資料(★)にあります。


★『オーストラリアの選挙制度』(2004年10月9日、連邦議会選挙/2004年9月、オーストラリア大使館広報文化部)


http://www.australia.or.jp/gaiyou/japanese_resources/pdf/election2004.pdf


<出典・照会先>


豪日交流基金オーストラリア図書館
東京都港区三田2−1−14
Tel: 03-5232-4005
Fax: 03-5232-4655
e-mail: ajfjapan@gol.com
HP: www.ajf.australia.or.jp
最終月曜日を除き月曜から金曜
午前10時から午後5時まで開館


(2)「ヘア・クラーク制」という命名について


・・・この投票システムの創案者・改良者の名前(C. E. Clark & Thomas Hare)を取って名づけられたもの。


・・・オーストラリアで実現している、C. E. ClarkとThomas Hareが創案・提唱した投票の仕組みということ。この制度では自分がどんな小政党の支持者であっても「死に票」となることはない。これは全ての国民の投票行動への刺激となるばかりでなく、政党が活躍するチャンスも増えるため、より理想的な民主主義を実現する可能性が開けてくる。



(3)関連Blog記事


●「低投票率56.6%」が暗示する日本の危機とは?
http://blog.goo.ne.jp/remb/e/4d88664a380ca983ffd4eec0b087ba0b


●シリーズ「民主主義のガバナンス」を考える(1/4)
http://blog.goo.ne.jp/remb/e/befdba34197916905326a56e53595035


●シリーズ「民主主義のガバナンス」を考える(2/4)
http://blog.goo.ne.jp/remb/e/bf4c270cd09c9bc12534a90d6bc01d2f


●シリーズ「民主主義のガバナンス」を考える(3/4)
http://blog.goo.ne.jp/remb/e/19bd271559ab2a5cd3559f0e5eeb3d46


●シリーズ「民主主義のガバナンス」を考える(4/4)
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050405
・・・この「ヘア・クラーク制」という言葉を初めて引用しました。


<追記>


▲このような優れた制度が、約1世紀近くもの遥か昔からオーストラリアで実行されていたことを知り驚いています。


▲仮に、ジャーナリズムを使ったメディアコントロールのような力(暴政の力)が作用する場合は、この「ヘア・クラーク制」といえども有効とはいえないようです。しかし、正しい民主主義を実現するには、先ず、このように優れた選挙制度を導入すべきだと思っています。


▲やはり、想像以上に日本(政治、アカデミズム、ジャーナリズム)の後進性(又は退行途上傾向)は深刻なようです。一部のエリートの方々は、知っていながら面倒か都合が悪いので無視しているんでしょうね、多分。