toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

ニッポンについての暗い「二つの資料&データ」

  ニッポン・サッカーが早々とドイツでのワールドカップ出場を決めたことは、我われ国民を久しぶりにとても明るい気分にさせてくれた嬉しいニュースです。

  しかし、その同じニッポンは、下の「二つの資料&データ」(●)と<参考1〜4>(▲)で見るかぎり、非常に重篤な奇病に冒されつつあります。それにもかかわらず、国家の理念を見失ったニッポン政府と国会(国家統治の最高機関)の仕事ぶりは、余りにも明後日の方向を向きすぎているように思われてなりません。

  そして、小泉首相は繰り返し『靖国神社参拝については適切に判断します!』と言い続けます。『靖国神社参拝について適切に判断する』と、このように暗い日本の未来が本当に明るくなるのでしょうか? それが構造改革の成果なのでしょうか? 幼い子ども達に聞かせても分かるように易しく教えて頂きたいものです。

暗い資料&データ[1]
●“負け組み・勝ち組”の二極化が進行するニッポン(サラリーマン所得の現状分析)
http://www.poor-papa.com/incomeindex.htm


暗い資料&データ[2]
●日本国財政破綻Safety�Net
http://wanderer.exblog.jp/

・・・国家財政管理方式の雛形となった複式簿記会計システムを体系的にまとめたのは、15世紀のイタリアの修道僧ルカ・パチオリ(Luca�Pacioli/1445-1514/15世紀後半〜16世紀初頭に活躍したイタリアの数学者)�だとされています。が、更にそのルーツを探ると14〜15世紀の地中海貿易をほぼ独占したヴェネチア商人にたどり着きます。

・・・しかし、その実情は、ヴェネチア商人が自発的に考案したというよりもヴェネチア共和国が徴税漏れを防ぐために、もっとホンマのことを言えば、国家財政担当当局が思うままに国民へ課税強化できるようにするため考案したということのようです。

・・・もっとも、名著『海の都の物語』(痛快・華麗な文体でヴェネツィア共和国の興亡史を綴った名作)を書いた塩野七生氏によると、市民(国民)からその重責の任に相応しくないと見做された(国益に反した)ヴェネチア共和国のドージェ(元首)たちは絞首刑に処されたようです。このため、元首の仕事を全うして安泰な人生を終えたドージェは数少なかったはずです。国家権力による過酷な徴税の裏面には、このような厳しい政治の現実を伴うのが人間の歴史であったことを銘記すべきだと思います。
(参照)塩野七生、著作集一覧・解説
http://iwao.pekori.to/shiono/sakuhin.html

・・・薀蓄はともかくとして、日本(裏帳簿国ニッポン/http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050608)の借金財政の背後には、このような「恐るべき地下構造」が存在します。そして、流石にこの“裏帳簿国ニッポン”は、歴史を大切にする国(そうでしたっけ?ハテナ?)だけあって、誇り高きヴェネチア共和国の伝統に学びつつ「国民に対する課税強化」にますます勤しんでいるようです。

  更に、このように暗い「資料&データ」を補完する「更に暗い事情」があるので<参考1〜4>(▲)として加えておきます。

▲参考1:個人所得、控除見直し「政府税調、給与や配偶者控除を縮小へ」)2005.66.8付、朝日新聞・記事

(1)政府税制調査会(首相の諮問機関)は、6月下旬にまとめる報告書で、複雑に分かれた個人所得の各種控除や縮小・廃止打ち出す方針を確認した。

(2)今回の報告書は、小泉首相が“在任中は消費税を増税しない”と宣言するなか、消費税と並ぶ税制の中心である個人所得課税についての考え方を、中長期的な視点から整理する狙いがある。

▲参考2:介護サービス関連費用の大幅な見直し

今秋には、介護サービス関連費用の見直し(5年ごとに実施)が行われる予定であり、見直しの内容は国会で審議中ということになっている。分かり易く言うと(仕組みが複雑なので)、現行の特別擁護老人施設や老人介護保健施設の入居費用(標準は4人部屋)の標準金額は国民年金の支給額に見合った月額6〜8万円位となっている。これが、今秋の見直しでは平均5万円位加算され月額12万円位まで値上げとなる見通しである。(現行でも、個室・二人部屋は12万〜20万円)

▲参考3:[高すぎる民主主義のコスト] (http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050315より再録)

(1)国の一般歳出の中の公債費を除いた義務的経費に占める人件費の割合
29.4%(10兆円/34兆円、国家公務員数100万人、1人当の人件費1千万円)

<注>義務的経費:一般歳出における人件費・扶助費・公債費のこと/一般民間サラリーマン平均年収:600〜650万円程度/地方公務員の人件費:約30兆円(300万人)
・・・この官民格差を基準として計算すると、公務員(国家+地方)1人当たりの過剰人件費の総額は少なくとも12〜14兆円程度に達すると推計できる。

(2)国会議員の年収/歳費支出額
歳費支出額=2,400万円

・・・この他に文書交通費、特殊乗車券交付、別途旅費交通費、立法調査費などが支給されており、平均 すると国会議員1人当たりの年収は約4,400万円。(総理大臣は、これに1、400万円程度加算)

・・・これを元に衆参両議員に対する歳費の年間支出額を計算すると約465億円。しかも、これには選挙に関する多額の費用、大臣・議長等の役職手当、運転手付公用車費用などは一切ふくまれていない。 

・・・更に、この金額に政党助成金と公設秘書に支払われる経費を加算すると、国会銀の手に渡る費用は約800億円(政府税収の約0.2%相当)の多額になる。

・・・なお、日本(人口約1.2億人)の衆議院議員480人に対してアメリカ(人口約2.8億人)の下院議院435人を比べると、日本の国会議員の数が如何に過剰であるかがわかる。

(3)特殊法人独立行政法人化による、新たな無駄づかいの発生

・・・2004.7.3付・朝日新聞・記事の分析によると、「特殊法人独立行政法人化」によって、官僚の天下りポストが3倍に増え、そのラスパイレス指数(年齢構成を加味した国家公務員給与水準との比較)が1.2〜1.3倍となっている。結果的に、この「カイカク」がもたらしたのは国家公務員より2〜3割給与水準が高い「準国家公務員」へ衣替え(カイカクの名の下での看板の書き換え=改悪)ということであった。なぜ、これが「カイカク」と言えるのか?

・・・準公務員の数は諸説があり判然としないが、国と地方を合わせると約400万人というのが定説。この数字を(1)に加算すると、驚くなかれ給与水準の官民格差の総額は、少なくとも倍増して約24〜28兆円の巨額に達する。

(4)その他(高額が目立つ公務員給与の事例)

公正取引委員会・委員長:年収約3,100万円
金融再生委員会・委員長:年収約2,600万円
人事院総裁:年収約3,270万円
会計検査院・院長:年収約3,200万円

[小泉内閣による増税等による国民負担増のプラン]

(実施/確定)
・厚生年金料の負担増 04年10月1日〜
配偶者特別控除の廃止  04年12月〜
・個人住民税の引き上げ   04年〜
国民年金保険料の値上げ 05年4月〜
・住民税のアップ     05年6月〜
介護施設の居住費(平均月額5万円アップ)の徴収 05年〜
雇用保険料の引き上げ   05年〜
定率減税の圧縮・廃止  06年〜
・療養病床費の自己負担  06年〜

(その他/予定)

・年金課税による高齢者負担増
生活保護老齢加算廃止
・高齢者控除縮小・廃止
・住宅ローン減税の縮小
・フリーターの課税強化 (成人フリーターを扶養家族から排除)

◎サラリーマン控除縮小へ、増税色強まる 政府税調報告書
http://www.asahi.com/business/update/0621/119.html

(注記)

産経新聞(6/21)、NHK(6/22)等の試算では消費税だけで『110万円の大増税となる!』。これに年収500〜700万円のモデル・サラリーマン家庭(4人家族)で月当たり約25〜30万円の所得税増が加わり、年当り1家庭で約135〜140万円の大増税となる。(仮に消費税19%と仮定すると・・・消費税は1%当り1年で約2.5兆円税収増なので、国家の歳入は消費税だけでも合計47.5兆円増となる計算。)

■公務員の平均年収約1、000万円、高給官僚・高給政治家の無駄遣いなどは放置のまま。また、財政赤字が首相の就任以降だけで約150兆円も増えている。その上、小泉政権が誤った財政引締めと自らの無駄遣いの放置で約10兆円の税収減をもたらした。小泉政権は、これらの責任を放置して、国民へ一方的に大増税を押し付けようとしている。こんな無能・無策の政治は誰が首相になってもできた筈だ。尤も、これは、それで良しとする多くのサラリーマンが選挙権を放棄し、異議申し立ての権利を放棄してきたことの見返りでもある。自業自得だろうか・・・。しかし、初めから批判し、異議を申し立ててきた立場の者からすれば、こんなフザケタいい加減な話はない!、のである。 

▲参考4:医療費抑制のため「混合診療の導入」を検討中(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050319の再録)

これを端的に言えば、日本政府が“「6〜7割の自己負担」と「混合診療の導入」のいずれの『痛みを選ぶのか!』”と、国民に対して厳しい選択を迫っている状態です。このため、日本の社会保障制度(福祉政策)の根本である「国民皆保険の原則」(国民の基本権を定めた日本国憲法の根本精神の反映でもある)が風前の灯火となっています。

▲年金・介護・医療・税制、暮らしはどうなる?
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/0410pannfu.pdf