toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

世界の常識は日本の非常識?(海外から見た「日本の不思議な光景」)


  偶然にも、サイマルティニアス(simultaneous/同時進行的)に報じられた、この二つの海外発のニュースから透けて見えるのは、「観念的・ロマン的な国益原理主義」(過激で懐古的なナショナリズムへの共感/特に歴史を知らない若年層にこの傾向が強く出つつある)と「民営化原理主義」(アカデミズムでメジャー位置を占める新自由主義思想を根拠とする市場原理主義)という二つの狂信的な原理主義の罠に一層深く嵌りつつある日本の実像です。


  残念ながら、我われ一般国民は、これほど「高度情報化社会」だと囃したてられているにもかかわらず、このような“日本の実像に関するリアリスティックな情報”を、テレビ・新聞など日本国内のメディアから分かり易い形で手に入れることが困難になりつつあるようです。このため、“今の日本は、1930年代のドイツ(ヒトラーによるナチス政権登場の前夜)”に似てきていると一部で囁かれています。


[1] 「つくる会」の教科書を日本政府は認めるべきでない? 


●英国の名門紙、ザ・タイムズ(The Times)が、13日付の社説
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,542-1732864,00.html)で、扶桑社・「つくる会」の歴史教科書を『認めるべきでない』と論じているとの情報があります。
http://blog.kaisetsu.org/?eid=138384


●ザ・タイムズは、世界のリーダー層に対して非常に影響力の大きい雑誌なので世界中のコモンセンスを持つ人々の合意を背景にしているとblog.kaisetsuは分析しています。これは『宣(むべ)なる哉!』だと思います。


●我われは、下記の<参考>に掲げたデータが持つ重大な意味を決して忘れるべきではないでしょう。これを直視することが「自虐史観」などではあり得ません。


(Leading articles August 13, 2005)
『Wounds still to be healed』


For Asians, Japan has yet to take the steps required for reconciliation.The 60th anniversary of the end of the Second World War falls on Monday, a date less clearly etched in European minds than it should be. Between Germany’s deefeat in May 1945 and Japan’s surrender on August 15, some of the bloodiest battles of the entire war raged across the far-flung Eastern theatre, against Japanese troops who fought with undiminished ferocity, regardless of the defeat that was now inevitable. It was the US Army that suffered the brunt of the losses which occurred on the Allied side.


・・・途中省略(以下が肝心の部分)・・・


Yet Japan has still to grasp that stilted though repeated expressions of sorrow and regret have yet to meet the demand for proper atonement. It persists in treating the outrage caused by the Government’s approval of a controversially unapologetic school textbook as a “misunderstanding” of Japan’s education policies. It is true that schools have a choice; and true that only 1 per cent of Japan’s schools use this textbook. But the choice should not be available.
Germany does not allow the glossing-over of the Nazi past. Japan, in its own interests, should be at least equally stern.


<参考>


『太平洋戦争における内外戦没者数の概要』 約2,055万人


終戦までの戦没者数、約320万人(うち軍属の戦死者約210万人)


終戦後の死者数、約35万人(うち、広島・長崎の原爆による犠牲者数は約30万人)


以上の合計、約355万人




国外での犠牲者数(外国人)、約1,700万人(うち中国人約1,000万人、インドネシア人約400万人、ベトナム人約200万人、朝鮮人約20万人)


以上の総計、2,055万人


(参照した資料)


英霊
http://www.asahi-net.or.jp/~un3k-mn/eirei.htm


アジア太平洋における各国戦争犠牲者数
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/5225.html


[2]「郵政民営化法案」の否決は世界(米英)の金融ビジネスの損失?


●この記事を読むと、日本の一般国民は本当にノーテンキに見えてきます。小泉首相は、どこの国のソール・エージェント(総代理人)なのでしょうか? それでも、巨額資金を投じたマスメディア戦略のお陰で小泉首相の支持率が日々に鰻ぎ登りのようです。これは果たして喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのか? 我われ一般国民は“自己責任”において、よく考えるべきでしょう。


●一般の日本国民の理解を得るため、どれほど多額の資金(予算)を投じて「米国の金融エスタブリッシュメント層が期待する形での郵政民営化」をアピールするとしても、約350兆円にも及ぶ獲物の巨大さと比べれば、それは非常に廉価な投入経費に見える訳です。今や、「日本の政治」が、広告・宣伝業界とマスメディア業界を巻き込んだ巨大な「政治ビジネス」化(政府の広報・情報ビジネス産業化)していることの実相が見えるようです。


●たとえ、天文学的な規模(日本国民の虎の子の)のビッグ・マネーを世界の金融市場へ放出・提供したとしても、世界に名だたる勤勉・実直な日本のサラリーマンは、「医療・福祉関連サービス(生存権)の切り下げ」と「多様な手練手管で課せられる高額の増税負担」に耐え得ることが期待されているのかも知れません。


(Financial Times  August 8 2005 20:22
/英国で発行されている、世界的権威がある経済新聞 ) 


『A contemporary dilemma haunted by history By Ronald Dore』(部分)


Junichiro Koizumi, Japan’s prime minister, has lost the vote on his grand scheme to privatise the country’s post office with its vast savings pool and will go to the polls. For now, the village-pump communitarian face of Japanese conservatism has won out over anti-bureaucratic, privatising radicalism. T緒he global finance industry will have to wait a little longer to get its hands on that $3,000bn of Japanese savings.


(意訳)日本の小泉純一郎首相は、膨大な貯蓄額を持つ郵政事業の民営化法案という彼のグランド・スキームを国会で否決された。その結論は総選挙に委ねられることになった。とりあえずは、旧い田舎じみた印象の日本の保守主義が過激な反官僚主義と過激な民営化方針に勝利を収めた形になっている。このため、世界の金融産業は、約350兆円の日本人の貯蓄を手に入れるまで、もう少しだけ我慢しなければならない。


[補足1]


[2]に関連するBlog記事があります(Los Angeles Times、et al. について)


『米国の関心事は350兆円におよぶ郵政マネー』


「Los Angeles Times」の記事にしても、あるいは、CNNの長めのニュースにしても郵政民営化の説明で強調されるのはただ一点、郵貯が世界最大の貯蓄銀行で、それが民営化されたら、350兆円におよぶ郵政マネー(簡保も含めて)を持つ世界最大の銀行が生まれるということである。アメリカの関心は(政府も民間も)郵政民営化の問題で関心があるのは、この一点だけなのである。


・・・この続きは下記URL(●)からドウゾ・・・


●視点を磨く厳選コラム「ビジネススタイル」
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050811_kaigai/index1
.html


[補足2]


8/15付「YOMIURI ONLINE」(下記URL)はワシントン・ポスト紙も小泉首相支持を表明しています。
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050815/20050815ia24-yol.html


[補足3]


大革命後の混乱の時代に生きたフランスの政治学者トックビルが、独立革命後のアメリカを旅行して名著『アメリカのデモクラシー』を残しています。


現代アメリカの「キリスト教原理主義」のルーツは、丁度このような時代に結びつくようです。


それによると、既に、その当時のアメリカでは、過度の「自由主義」による「利己主義」と「政治的無関心」の悪弊が蔓延っていたそうです。


どうやら、ブッシュ氏が誇るアメリカ流の民主主義には始めから深刻な問題が潜んでいたようです。


具体的に見ると、それは「人権の軽視」と「権力抑制の必要性の無視」(具体的に言えば、憲法についての授権規範性の軽視)ということであったようです。EUがブッシュのアメリカを警戒する根本も、この辺にあるようです。


見方を変えると、これはアウシュビッツなどで人間性の根本を冒涜したナチズムと同じ精神環境です。どんな人間でもハメをはずすと恐ろしいということです。「小泉-竹中ライン」の市場原理主義政策には、この辺についての「傲慢さ、恐ろしさ、愚かさ」が纏わりついています。


ご都合主義的にキリスト教原理主義と自由原理主義が結びついた今のアメリカ政府の思考パターンは、意外とナチズムに近いのではないかと思っています。


従って、このようなアメリカを妄信する「小泉-竹中ライン」の周辺にナチズムの臭いが漂うのは当然だと思います。


大方の国民は、この深刻さを未だ自覚できないだけだと思います。