toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

「耐震偽造事件」(小泉劇場・第ニ幕)と映画『ガス燈』に通底するトリック(続編)

  「前回の記事(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20051203)で掲載した年表」に前後の補足的な項目を加えたものを下記(末尾)に再掲しました。また、この前回の記事にTBを頂いたmiyau様のブログ記事「そぞろ日記/この国の『構造的欠陥』、http://miyau.cocolog-nifty.com/sozoro/2005/12/post_2010.html」を読ませていただき、やはりアメリカが「世界総市場化戦略」の尖(先)兵としての日本の利用価値に改めて注目しているという現実を直視する必要があると思いました。最近、一部のブログなどでアメリカの対日戦略に変化の兆しが見られるという論調が目立ち始めています。つまり、日米間における政治・軍事・経済の三大局面で対等なパートナーシップを築く方向へアメリカが舵を切り始めたという議論です。しかし、この種類の観測には大きな疑問符が付くと思います。むしろ、現実はますます日本がアメリカ合衆国の属国的地位に囲い込まれつつあるように思えてなりません。

  この年表をジッと眺めていると、この約10〜15年間こそが日本国民にとっては「テロとの闘い」の歴史ではないのか?と思われてきます。つまり、1985年の「プラザ合意」以降における日米関係の舞台の袖では、米国から日本へ仕向けられた「『日本の構造障壁粉砕』のための先制攻撃」(これこそがテロ!?)という野太い通奏低音を伴った“米国賛歌のメロディー”が鳴り響き続けており、その不可逆の流れの中で「建築基準法の改正/建築申請確認・検査の民営化」、「有事関連三法」、「個人情報保護法、「司法改革」、「郵政民営化」、「税制改革」、「医療・福祉改革」などが行われつつあり、一方では治安維持法的な日本国民の人権を制限するための法整備と「憲法改正」が急がれており、「共謀罪」関連の度重なる法案提出が繰り返されています。このような観点から日本の政治地図を見直すと、恰も「ルビンの杯」(知覚心理学に出てくる反転図形のモデル/図柄は同じでも意識の変化によって図と地の関係が反転する)で図と地が反転するように、「小泉構造改革」が日本国民のためではなくアメリカ政府のために行われていることが見えてきます。しかし、この反転図形は余程の批判的な意識を持たないと忽ち元の図柄へ戻ってしまいます。

  それは“『対米隷属構造』をより確固たるものとするには新自由主義体制の社会に馴染むよう日本国民の精神構造を組み変える必要がある。『小泉構造改革』はそのための有効な処方箋である。”ということです。別に言うなら、これは“アメリカを宗主国とする新しいタイプの日米冊封体制の構築”であり、その体制への布陣を完成して歴史に名を残すべく奮闘しているのが「名宰相・小泉純一郎」だという訳です。そして、宰相・小泉純一郎氏の現実的な役割は宗主国アメリカの国益を代表する『日本総督』の仕事をすることです。その証拠に、名宰相・小泉純一郎氏は政務の間の暇を見つけてはオペラだ歌舞伎だと優雅な趣味人の世界を満喫・堪能する生活、いわばディレッタント的生活を送っており、多くの日本国民に塗炭の苦痛と恐怖心を与えつつある「アスベスト石綿問題」も「鳥インフルエンザ」も「耐震偽造事件」も小泉純一郎氏の主要な関心事ではないのです。その様子は、まるで何時も『そんな下々にかかわることは大したことではない!』と思って生きているかのようです。この辺りは、乳母日傘のため生活感覚が浮世離れしているニ、三世議員に共通した弊害かも知れません。

  歌舞伎にもオペラのように派手な見せ場があるそうですが、この12月3日に、派手好きな日本国宰相・小泉純一郎氏は京都・南座で歌舞伎の4代目坂田藤十郎さんの襲名披露となる「吉例顔見世興行」を鑑賞しています。18〜19世紀、欧米列強の植民地時代の最盛期には世界中の植民地へ宗主国から煌びやかな装束で身を飾った総督たちが派遣され、彼らの生活振りは地元の住民たちを圧倒・威圧する意図もあって(実情は私腹を肥やしていたからできたのでしょうが)、本国の王族に匹敵するような豪華絢爛たる生活であったことが歴史に記されています。今でこそオペラ(発祥地は17世紀イタリアのヴェネツィアとされる)は高級な総合芸術と目されています。しかし、このオペラが被宗主国のエリート層や現地勝ち組の人々を馴致するための手段として利用された、植民地時代における一種の洗脳の道具の役割を担ったことは周知のとおりです。かつて大植民地地域であった南米各国にヨーロッパに劣らぬほど豪華なオペラ劇場が数多く残されているのが、その何よりの証拠です。

  「郵政民営化」を打ち上げるブースター(booster/多段式ロケットの最初の強力な推進装置)となったもの、「耐震偽造事件」の発端を作った「建築申請確認・検査の民営化」の推進力となったもの、それは1989年から開始された「日米構造協議/SII(Structural Impediment Initiative)」と1993年から開始された「年次改革要望書」の二つです。在米の構造地質学者、藤原肇氏によると、initiativeの意味は“相手を徹底的に叩きのめすために先制攻略(攻撃)する”ということだそうです(impedimentは障害、障壁のこと)。これは、アメリカが日本国民を搾取することを一方的に宣言し、それを日本政府が国民を誑かしながら受け入れてきたということに他なりません。その現実を隠蔽するため外務官僚が作為的にinitiativeを誤訳して「(構造)協議」としたのです。

  なぜかマスメディアは、ここにも突っ込みを入れることはしませんでした。この時の米国の主な狙いは「日本の経済構造」を強引に変えることによって米国企業との競争条件を同じにすることにありました。その直接的被害は、内需拡大(貯蓄・投資バランスの改善)を名目にその後10年間にわたり約500兆円の公共投資を強要されたことです。しかし、これで潤ったのは専らゼネコンばかりで、内需拡大のための波及効果はあまり生まれませんでした。しかも、日本国民の被害はそれだけに止まらず、「小泉劇場」による「構造改革」と「民営化」の嵐が吹き荒れることで、日本国内ではあらゆる局面で倫理観、正義感、責任感、プロ意識が崩壊し、安全と品質が蔑ろにされ、人命が軽視される“おぞましく異常な社会現象”が日常茶飯事となってしまいました。

  「JR西日本の悲惨な列車事故」も「毎年3万人超の自殺者の発生」も、このようにアブノーマルな政治・社会状況と無関係ではあり得ません。一方、その裏では“見かけだけ変身したように装いながら、実際にはグロテスクに肥大化した政=官=財の癒着構造”がまるでガン細胞か繁殖力が強い不気味な寄生虫のように増殖しつつあります。外様行政官庁の独立行政法人化、道路公団改革、建築申請確認・検査の民営化による民間検査会社の設立などが、そのための新たな受け皿を準備した訳です。今や、国家構造そのものが「耐震偽造計算」で擬装設計された「小泉詐欺劇場」によって斜め割れ、横割れのクラックが走り始め、日本全体が崩壊の危機に瀕しているのかも知れません。

(2000年以前で、特に関連すると思われる出来事/日本の失われた10(15)年のためのプレリュード)

<竹下 登内閣>
プラザ合意(1985)

<宇野宗祐内閣>
・「日米構造協議/SII(Structural Impediment Initiative)」開始(1989〜)
・・・SIIの正しい邦訳は「(日本に存在する)構造障壁粉砕のための(米国からの)先制攻撃」(在米の構造地質学者、藤原肇氏による)

宮沢喜一内閣>
・(米→日)「年次改革要望書」開始(1993〜)

(1999〜2000年は巨額の銀行不良債権問題がピークへ向かう時)

橋本龍太郎内閣、1996〜98>
日米安保共同宣言(1996)
・ 財政構造改革法(1997)
・ 消費税5%へ引き上げ(1997)
中央省庁等改革基本法(1998)
介護保険法(1998)
建築基準法の改正/建築申請確認・検査の民営化(1998.6)

小渕恵三内閣、1998〜2000>
・ 周辺事態関連法(1999)
男女共同参画社会基本法(1999)
・ 国旗・国家法(1999)

<森善朗内閣、2000〜01>
九州・沖縄サミット(2000)
・ 中央省庁再編(2001)

(2001年以降は小泉内閣による「構造改革と民営化原理主義」推進の時代)

小泉純一郎内閣、2001〜>
テロ対策特措法(2001)
日朝平壌宣言(2002)
・ 有事関連3法(2003)
イラク復興支援特措法(2003)
自衛隊イラクサマワへの派遣を決定(2004)
個人情報保護法(2005)
・ 「郵政民営化法案」9.11参院否決→衆院解散・総選挙(2005)
・ 「アスベスト石綿問題」発覚(2005)
・ 小泉=ブッシュ日米首脳会談、(京都)(2005.11.15)
・ 「耐震偽造事件」発覚(2005)
小泉首相、(京都)訪問「藤十郎襲名披露を鑑賞」(2005.12.3)