toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

「幻想のセレブ経済」にパラサイト(寄生)する大増税時代の始まり


  小泉構造改革は、「不良債権処理なくして成長なし」という大衆受けする呪文を唱えながら多くの企業の命運を絶つ政策を断行し、あらゆる企業にリストラを強制し、年平均3万人を超える自殺者をもたらす社会・経済環境づくりに邁進し、多くの弱者を切り捨てただけに過ぎない、と高杉良氏(経済小説の巨匠、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9D%89%E8%89%AF)が「月刊・現代」の記事で断じています(下記注記★)。また、この論の中で高杉氏は「小泉構造改革の成果で景気が良くなった」という言説の欺瞞性(=幻想のセレブ)を鋭く突いています。詳しくは、「月刊・現代」の記事を読んでいただくとして、小泉・竹中『亡国コンビ』に対する痛烈な一撃のサワリだけを紹介しておきます。それは、結果的に現在の株高への端緒となったことであると同時に、銀行不良債権処理のハードランディングを示した「竹中プラン」の欺瞞性を突いたことです。


★月刊・現代、2月号:「小泉・竹中『亡国コンビ』への退場勧告」


  その欺瞞性とは、「大きいからといって潰せない銀行はないんだ」(複数のメガバンクの国有化も辞さず)という竹中氏の恫喝的な言葉で表明されたハードランディング路線(市場のルールに従う厳格な資産査定と経営責任の追及方針)が、“りそな銀行”国有化検討の土壇場になった途端、一転して、不合理(身勝手で、ご都合主義)な理由の下にソフトランディングへ変更された(モラルハザード化、つまり経営者&株主保護へ方針転換した)ことを指します。そして、実はこれが契機となって株価の傾向が上昇傾向へ転じ始めたのです。この経緯から高杉氏は、竹中プランの無効性を指摘します。つまり、竹中プランを180°転換した途端に銀行株が買い戻され、そこから株式市場が上昇方向へ転じたことは、竹中プランが景気回復には無効であった(つまり、市場から信頼されていなかった)ことの証明になっている、という訳です。


  その後の株価上昇の後押しは、2005年10月の「証券取引法の改正」であり、それ以降は活発な外資の参入(原動力は日本政府が購入し保有する多額の米国財務省証券/日本政府はこの「米国財務省証券の預かり証」と引き換えに市中金融機関(銀行)から円を受け取り、それを為替市場でドルと交換する(一種の偽善的な信用創造?、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20051219 )が、この瞬間に我われ日本国民の銀行預金は主に米国などの外国投資機関の手に渡ることになる/この辺りのプロセスは、見方によっては何となくオレオレ詐欺の手法に似ている)とネット取引のセレブな成功事例等に煽られる形で一般個人投資家(個人資産・約1,400兆円の一部分)を強引に巻き込みつつ東証株価が急上昇してきた訳です。


  一方、これから迎える「2006年会計年度」は、愈々、「マゾ的な一般国民虐めの大増税時代」の始まりです。細かなところはともかくとして、下記資料(★)などから、ごく大雑把に目安となる数字を拾ってみると次のように推計されます。


■年収700万円のモデルを想定(専業主婦の妻、中学生、大学生の子ども2人)


2006年度の増税
・・・+約5万円(所得税定率減税半減、厚生年金保険料の引上、etc)
2007年度の増税
・・・+約5万円以上(所得税定率減税全廃、配偶者控除廃止、etc)
2008年度の増税
・・・+約15〜20万円以上(消費税率10%〜、etc)


(参考資料)


★政府税調報告書の概要、http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo213.htm
★平成18年度税制改正案の概要(財務省)、http://www.mof.go.jp/genan18/zei002.pdf
★総額2兆円、増税時代 与党税制改正大綱を決定(産経新聞経済トピックス)、http://news.goo.ne.jp/news/sankei/keizai/20051216/m20051216002.html?C=S


(参考)増税関連の予定


2006年1月:住宅ローン減税・規模縮小、定率減税所得税)半減
2006年4月:国民年金保険料・引上、障害者福祉サービス利用料・引上
2006年5月:酒税・引上
2006年6月:個人住民税(定率減税)半減、個人住民税非課税措置の段階的廃止、個人住民税均等割の妻への非課税措置の段階的廃止
2006年7月:たばこ税の引上
2006年9月:厚生年金の保険料・引上、小泉総理大臣・退任(?)
2006年10月:高齢者医療費の患者負担・引上、療養病床入院患者の負担増
2007年1月:定率減税所得税)全廃
2007年7月:医療費患者負担・引上
& others to follow (乞、御期待!!)

  これが、「小泉構造改革」(=幻想のセレブ)の厳然たる成果です。これに加えて“祝福”すべき(?)は「マスメディアの劣化」ということです。高杉良氏も、表記の記事の中で、某新聞社の記者の検証能力の劣化ぶりを実例に基づき名指しで指摘しています。このような「小泉構造改革の欺瞞性」に媚びるばかりのマスメディアは、ベンジャミン・フルフォード氏が著書『日本のマスコミ、臆病(coward)の構造』(宝島社)で指摘したとおり、まさに「財・政・官・暴・マ」の談合・癒着構造の片棒を担いでいる訳です。ベンジャミン・フルフォード氏は、「財・政・官・暴・マ」の中で最も臆病(coward)なのがマスコミであると言っています。日本のマスコミが臆病(coward)になってしまった理由は色々ありますが、最も大きな理由は、やはり日本政府から財政面などでの大きな借り(国有地廉価払下後の値上益確保・ニュースの安定供給源確保・機密費等の恩恵・記者クラブ制度の恩恵、自らの高給実績etc)を作ってしまったことにあるようです。


  ともかくも、このような訳で、この「財・政・官・暴・マ」が「一般国民の過酷な実体経済」の上に寄生して共同で築き上げた「幻想のセレブ経済」(実体経済を無視した擬装経済)に寄生虫のように取り付いて(パラサイトして)いるのが「小泉構造改革」なるものの実像です。そして、今や、この「パラサイト談合・癒着による暴政の構造」が次期政権(安倍政権?)へ安定的に引き継がれるための「露払いの儀式」(大増税政策の始まり、開始式=提灯記事の大増発、テレビ・ワイドショー恒例の安倍ちゃん祭り)が“臆病なマスメディア”によって粛々と執り行われようとしているのです。