toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

混迷のマルチチュードと二つの生誕記念、レンブラント&モーツアルト

toxandoria2006-01-15


<注>レンブラント『夜警』の大きな画像は下記のURL(★)でご覧ください。
http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/r/rembran/

  ノーム・チョムスキーの著書『メディア・コントロール』(集英社新書)によると、1980年代以降(レーガン政権以降)のアメリカではメディア・コントロールを更に一歩進めた「世論・思想工作」が積極的に行われるようになってきました。その基本的な手法は「偽りの現実」(意図的に創造した内外の敵対者)を国民の目前に提示し、マスメディアの抱きこみや盗聴などの違法な手法を駆使することで巧妙に国民一般の批判がそれに向かうように工作することです。現在、ブッシュ政権下で急浮上してきた米国の秘密情報機関NSA(国家安全保障局http://www.nsa.gov/)が、ブッシュ大統領の秘密命令の下で自国民を対象に、盗視・盗聴・盗撮を続けていたという問題はその典型であり、このNSAは数百万人規模の国民を対象に盗聴する能力を持つとされています(参照、http://onuma.cocolog-nifty.com/)。

  このアメリカ伝統の手法を日本の『小泉劇場』が取り入れたことは疑う余地がありません。「敵-味方」という対立軸の論理を国民の前に分かり易く提示して「構造改革」ならぬ<構造破壊>を進めてきた小泉政権は、初めからこの手法を密かに練り上げていた節があります。未だに小泉政権が国民一般から過半の支持を集めることから推察すると、日本でもこの手法は見事に成功したかに見えます。しかし、その実体は[2006.1・9付・記事「『幻想のセレブ経済』にパラサイト(寄生)する大増税時代の始まり」(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060109)及び[2006.1.12付記事・「サルのマスタベーション」化するマルチチュードの世界](http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060112)で検証したとおり大きな誤謬を孕むものであり、日本が内に抱えた矛盾のマグマは危機的なレベルに近づきつつあります。

  例えば、小泉政権下の約4年で約250兆円もの財政赤字額が増加しており、2007年度以降の国債元利払費の年当り増加額のスピード(年当りの増加加速度)が、毎年5,000億円以上の規模にどんどん膨れ上がりながら増え続ける見通しであり、この問題への対応シナリオがまったく見えていないのです(参照/月刊、現代2月号・記事「桜井慶ニ:新聞が書かない巨大与党の危険な現実、加速する『小泉・竹中革命』」)。しかも、小泉首相の「靖国神社参拝問題」がもたらす外交面でのマイナスの波紋が収まる目処は立たず、東アジアにおける日本の孤立化は深まるばかりとなっています(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-14/2006011406_01_3.html)。
<参考>H16年度予算フレーム、http://www3.plala.or.jp/hkyoji/webzaisei/ch2.htm

  このような混迷の中で新年を迎えた今、二つのプラス方向への動きが見えてきました。その一つは「雑誌・論座の紙上で、「小泉首相靖国参拝問題」に関し読売新聞と朝日新聞の共闘」が宣言されたことです。また、米軍再編や人権・環境問題という最も困難な問題を抱える「沖縄」で小泉政権から強制的に自民党を離脱させられた「下地衆院議員」が、政治団体「そうぞう」を結成したというニュースがあります。下地議員は、沖縄で長く続く「保革」の枠組みを超えた政治の流れをつくるために意欲を燃やしています。この二つの出来事の意義については、kaisetsuさまが[2006.1.13付ブログ記事『海舌、朝日と読売の共闘で、日本に始めてポスト・モダンの軸が出来た!』(http://blog.kaisetsu.org/?eid=293541http://blog.kaisetsu.org/)で詳しく論じております。また、kaisetsuさまとrenshiさまが共同で提唱する『不連続差異論』(http://d.hatena.ne.jp/sophiologist/about)の今後にも注目すべきです。

  ところで、toxandoriaは、このような「混迷のマルチチュード」に入った時代を生き抜くには、やはり美的感性の助けが必要であることを自覚しており、できる限り芸術作品に触れる機会をつくることを心がけています。そして、たまたま本年は「レンブラント生誕400年」と「モーツアルト生誕250年」の年に当たっています。そこで、この二人の偉大な芸術家に関するイベントなどで主なものを以下にまとめておきます。

[Rembrandt Harmensz. van Rijn(1606-1669)]

アムステルダム国立美術館の特別展示(http://www.holland.or.jp/nbt/rijksmuseum/
・・・国立美術物館が美術館史上最大の改修工事を行っている間、コレクションの一部はオランダ、ドイツ、ベルギーの10箇所の美術館で展示される。国立美術館が誇る17世紀のマスターピース(最高傑作のコレクション)は改装工事中も本館併設のフィリップス棟にて展示されるが、アムステルダム市内にある新教会、ゴッホ美術館、レンブラントの家、ハウス・マルセイユでも美術館の出張コレクションを見ることが出来る。また国立美術館アムステルダム・スキポール別館(スキポール空港内)では17世紀の巨匠作品の常設展示と共に1年で3つの期間限定特別展を開催している(オランダ政府観光局HPより部分転載)。

アムステルダム国立美術館展、2005.10.25〜2006.1.15、兵庫県立美術館http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/index.html

■ピーター・グリーナウエイの映画、『レンブラントの夜警』
・・・6月〜8月に表記のアムステルダム国立美術館で「レンブラント生誕400年記念行事」の一環として公開されます。その前、5月にカナダで上映の機会があります(下記の英文案内を参照)。日本での公開は未定のようです。

▲Greenawey Guide by Uwe Hemmen(http://www.worlds4.com/greenaway/index.html

The movie is about the Dutch artist Rembrandt Harmenszoon van Rijn (July 15, 1606 in Leiden - October 4, 1669 in Amsterdam) and his most famous painting, The Night Watch, painted between 1640 and 1642, which is now in the Rijksmuseum, Amsterdam. The painting by Rembrandt was titled The Militia Company of Frans Banning Cock and of Lieutenant Willem van Ruytenburgh Preparing to March Out, and later in the late eighteenth century retitled by Sir Joshua Reynolds as The Nightwatch.

Rembrandt's studio completed it in 1642 with oil on an unusual large canvas of 363 x 437 cm (actually even larger since it has been cut afterwards). It depicts sixteen Civic guardsmen (who paid each 100 guilders for their portrait) while Rembrandt portraited himself in the center of the painting wearing a beret, between the man with the flag and the man with the helmet. After first discussions and complaints by the people in the back row the painting was a success.

It was the first to break with the tradition of stately and formal genre pieces like this collective portrait and instead depicts a lively action-scene full of movements and seemingly changing lights. PG's Rembrandt-movie is not the first about the life of this great Dutch artist.

A first research shows that his is the 8th full length movie (not counting shorts and TV-productions):

Arthur G・sburg with Carl de Vogt (Germany 1920),
Bryan Foy (USA 1925)
Alexander Korda with Charles Laughton (UK 1936)
Gerard Rutten (Netherlands 1940)
Hans Steinhoff with Ewald Balser (Germany 1942)
Jos Stelling (Netherlands 1977)
Charles Matton with Klaus Maria Brandauer (France 1999)

Contrary to the above movies PG will depict Rembrandt's decline as a matter of conspiricy and murder like we know it from The Draughtsman's Contract.

(参考1)[映画、The Draughtsman's Contractについて・・・邦題『英国式庭園殺人事件』(1982)の解説]
監督・脚本:ピーター・グリーナウェイ。音楽マイケル・ナイマン
・・・17世紀末はフランス風整型式庭園から英国式庭園へと移行する時期。原題になっている「画家の契約」とは、主人の留守中に12日間で12枚の絵を仕上げる代わりに、高額の報酬、その間の寝食の保証、そして好きな時に館の主人の妻が求めに応じるというものだった。やがて絵の中には館の主人の死と犯罪を暗示する証拠が描かれていく・・・全身を緑に塗って彫刻のふりをして庭に立つ裸の男(=グリーンマン)、オランジェリー(温室)など興味深いモチーフがいっぱい。(http://britannia.cool.ne.jp/cinema/title/title-e.htmlより転載)Peter Greenawey's Filmography、http://www5b.biglobe.ne.jp/~satonaka/g-rist.htm

(参考2)[2005.3.11、toxandoriaの日記/2006年に映画『レンブラントの夜警』(仮称)が公開されます]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050311

[Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)]

■日本モーツアルト協会・年間スエジュール(http://www.mozart.or.jp/home/home.html

■Austria prepares for a manic year of Mozart(http://www.msnbc.msn.com/id/10564796/

■Mozart Anniversary Year 2006(http://www.apartment.at/index_eng.php3/mozart

■The Mozart Project(http://www.mozartproject.org/index.html)