toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

“凶暴罪-ファシズム-マルチ商法”の連想をもたらす日本政府の「国家観の貧困」

 下記の[1]はブロガー“とむ丸”様の記事(下記★)へ書き込んだtoxandoriaのコメントです。更に、ここから派生した観点を雑感の形でまとめておきます。
★『焦土命令と共謀罪
http://blog.goo.ne.jp/tomkarin119/e/2c9e8aee35b3eb40dbb8c831cde655b5

[1]“とむ丸”様のブログ記事『焦土命令と共謀罪』へのコメント

ファシズムマルチ商法に似ているという点は同感です。どちらも、カルト的な臭いを漂わせて期待を持たせながら先ず弱い立場の者から順に蟻地獄のような罠へ誘い込むという手法がソックリだと思います。

そして、最後に化けの皮が剥がれそうになった時の破れかぶれになる開き直り方も似ています。そのプロセスでは親衛隊の統括下にゲシュタポを配置して監視と密告のシステムをつくり“凶暴化”します。語呂合わせのようですが、このために必要なのが“共謀罪”という訳のようですね。小泉政権が執拗に法案を出し続ける魂胆が透けて見えるようです。

少々次元が異なりますが、最近は“アクティブ(或いはラジカル)な民主主義”というキーワードが脳裏をよぎっています。無論、ブッシュ大統領のように民主主義のために戦争をするというようなことではなく、例えば、民主憲法の根本である「授権規範性の意味」を徹底的に捉え直すとか、或いは日本のこれからに関してEUのような国家ガバナンスのあり方を本気で議論するという類のことです。

拡大EU憲法問題で頓挫したように見えるかも知れませんが、決してそんなことはないと思います。アメリカ型の市場原理主義を制御しながら自由・平等・連帯・公正など民主主義の根本(価値観)を現実に合わせて再定義しようと努力しています。ご周知のとおりドイツの戦争責任への反省も徹底しています。

国家観のカケラも持たない、小泉首相のような無責任で詐欺師タイプの“世襲政治家たち”が何時までも崇められるのは、このような点について一般の日本国民の自覚が足りないからだと思います。

[2]「欧州連合EU)」建設の根本を象徴する欧州首都・ブリュッセル

脇阪紀行著『大欧州の時代(ブリュッセルからの報告)』(岩波新書)によると、2001年に欧州連合EU)の首都をブリュッセルにするにあたり、この首都のイメージをどのようなものとするかについてレポートが提出されています。このレポートはプロディ欧州委員長の招請で作られた賢人会合が纏めたものですが、その中心にはイタリアの作家ウンベルト・エーコとオランダの建築家レム・クールハスがいます。

ここで、ウンベルト・エーコは欧州の首都ブリュッセルは“地方権力が独自性を保ちながら民主的で緩やかな連合を形成すること"を提言しました。このようなヒューマンな発想の延長の上で、様々な矛盾に直面して苦悶しながらも“アメリカ型の市場原理主義を制御しながら自由・平等・連帯・公正など民主主義の根本(価値観)を現実に合わせて再定義しようと努力している”現在の欧州連合があります。

<注>欧州連合EU)の「理念」等についての詳細は下記ブログ記事(★)を参照のこと
★仏・蘭で「EU憲法」否決の教訓/世界から見える日本の民主主義の危機
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050602

[3]日本の民主主義のお寒い現状、そして「凶暴罪」の強行採決か?

翻るに、今の日本では、例えばライブドア事件を担当していた特捜部長が病気で途中降板したとされていますが、これについては上層部からの圧力で追い込まれたという噂が燻っています(雑誌『論座、2月号』、p98〜99より)。結局、このライブドア事件にしろ、耐震強度擬装事件にしろ、事件の本質が矮小化されて、政界ルートへの探索は絶望視どころか殆んど無視同然の扱いとなってしまっています。件のメール事件の真相にしても然りです。

鬼気迫るが如く「靖国神社参拝」に拘る“狂気じみた”小泉首相の為すがままに翻弄される日本の民主主義は、このように惨憺たるあり様となっています。昨夜はライブドアホリエモンが保釈されたということでマスメディアが大騒ぎでしたが、今日はその陰で“ヒッソリと(?)「凶暴罪」の強行採決”が予定されています。しかし、知る得る限りではこのニュースを流すメディアは殆んどありません。

<参考>

ウンベルト・エーコ(Umberto Eco/1932-  )

記号論の分野で高名なイタリアの哲学者、小説家、ボローニャ大学教授。トマス・アクイナスの美学論についての論文で学位を取得。現実の事件に啓示を受けた小説の執筆『薔薇の名前』(1980)を発表し、この作品は映画化された。(http://www.themodernword.com/eco/eco_biography.html

■レム・クールハス(Rem Koolhaas/1944 -   )

ヒューマニズムモダニズムの総合を表現できる建築家として世界的に高名な建築家。建築のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞した。日本の建築家では丹下健三槇文彦安藤忠雄の三人が同賞を受けている。以下は(http://architecture.about.com/library/bl-koolhaas.htm)より抜粋・・・
Rem Koolhaas has been called in turns Modernist and Deconstructivist, yet many critics claim that he leans toward Humanism. His work searches for a link between technology and humanity. Koolhaas was awarded the prestigious Pritzker Architecture Prize (http://www.pritzkerprize.net/)for the year 2000.

共謀罪が適用される法律名・罪名(法務省作成資料)http://www1.neweb.ne.jp/wb/zinken/kyoubou.html
・・・政府(法務省)は国連・越境組織犯罪条約の“批准に向けて”国内関連法を整備するため、犯罪の実行行為が行われなくとも相談や確認をしただけで処罰できる「共謀罪」を新設しようとしている。つまり、日本政府は当条約を批准するより前に国内法の整備を優先させようとしている訳である。

<追記>

共謀罪」を審議する衆議院の委員会は28日、採決を提案した与党側がこれを一旦取り下げたため正常化され、野党も出席して質疑が行われたようです(http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline3277889.html)。

与党側が準備していた修正案は野党と国民を小ばかにしたような殆んど無意味な内容であったようです。修正内容に関する問題点(拡大解釈の意図、密告・垂れ込みの奨励)については下記ブログ記事(★)を参照願います。ともかくも、今後も諦めずに批判を強める必要があります。

★情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士『与党が姑息な共謀罪修正案作成〜安易に修正路線に乗ってはならない!』
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/6e82fd937b9643c17c05b903eb88ab1e