toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

『バーゼルにおけるホルバイン展』のご案内

toxandoria2006-05-15


【画像】Holbein Hans d.J.(1497-1543)『Erasmus』1523 Oil on wood 42 x 32 cm Musee du Louvre, Paris
・・・お手数ですが、大きな画像は下記URL(★)をクリックしてご覧ください。
http://www.abcgallery.com/H/holbein/holbein11.html

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  mioromeoさま(ローマ在住)から、ヨーロッパにおける絵画展のホットな情報が入りましたのでご案内します。詳細は下記のmioromeoさまの記事「ハンス・ホルバイン・ジュニア」(Holbein Hans d. J./1497-1543)をご覧ください。同展は、今、バーゼルのKUNSTMUSEUMで7月2日までの予定で開催中です。(www.kunstmuseumbasel.ch/en/exhibitions/current/holbein)

 この“情報”の中で、mioromeoさまも「芸術は決して平和と比例して育つものではないのは残念なことですが、かなりの困難(困難すぎると潰されます)の中でこそ切磋琢磨されて育つもののようです。」と書いておられますが、まったく同感するところがあります。
 実は、ほぼ同じような問題意識で絵画を描いていたと思われる画家たちがイタリア・ルネサンスでも存在したようです。このことについては、タイミングよく、いま書きかけの記事がありますので、追ってUPするつもりです。

[mioromeo様 → toxandoria の“バーゼルにおけるホルバイン展”の情報]

■ハンス・ホルバイン・ジュニア(投稿者:ミオロメオ� 2006/05/15 07:42:06)

もう一つたいへん興味深い展覧会としてドイツルネッサンスの重要な作家ハンス・ホルバイン・ジュニアの、これはスイスのバーゼルで開かれている『バーゼルにおけるホルバイン展』があります。(7月2日までKUNSTMUSEUMで。油彩40点、デッサン100点程)www.kunstmuseumbasel.ch/en/exhibitions/current/holbein

その後は『ロンドンにおけるホルバイン展』がロンドンのテートギャラリーで9月28日から開かれるということで、ホルバインが主に活躍した二つの都市での二部式での展覧会が開かれます。

あの頃の画家はさまざまな都市に出かけて修行をしたり、宮廷から呼ばれたりして出かけてそれぞれに影響を受け合ったのですね。ラファエロの影響を受けた作品なども見られます。彼は本当はフランスの宮廷で仕事をしたかったのだそうですが、お呼びがかからなかった。残忍なイングランド王のヘンリー8世のために仕事をしなければならないというつらい立場の画家でしたね。

故国は宗教改革の嵐の中でもあり、行き先のバーゼルでもイギリスでも宗教と社会の矛盾が噴出していることを目のあたりにして、だからこそ『死の舞踏』というすざましい作品も生まれていったのでしょう。

それにしても芸術は決して平和と比例して育つものではないのは残念なことですが、かなりの困難(困難すぎると潰されます)の中でこそ切磋琢磨されて育つもののようです。

又芸術家の力量は便利さと比例するものでもなく、画家のデッサン力と油絵の技術は写真が発達してその力に頼るようになってから急激に衰えたということも一ついえるでしょう。この時代の芸術家、建築家を見ていると激動している時代にもかかわらず、かなり自由にいろいろな国を行き来しています。

各宮廷にとって画家は、デザイナーや写真報道家、肖像写真家として、イメージアップを図るには欠かせない人たちだったのですね。しかしながらホルバインの作品は各宮廷の人々の意図を超えて透析した視点で人間を掘り下げ描き迫っています。私も機会を作って是非改めて一同に見てみたいと思います。