toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

『低投票率』と『民主主義の品位の放棄』を看過するメディアの異常

toxandoria2006-10-23



【異常な低得票率で「衆院2補選=自民完勝!」、これが、そんなに“ご同慶の至り”なのか?】


2006.10.23付の各紙朝刊は「衆院2補選=自民完勝!」の大きな活字が躍っています。しかし、その余りにも低過ぎる投票率を考えると、<このようなメディアの報道>そのものが実に怪しげなものに見えてきます。


読売新聞によれば、[投票率は神奈川16区が47.16%、大阪9区が52.15%]で、各陣営の得票数は下のとおり(ただし、有権者総数は逆算で算出した概数)です 。


◇神奈川16区(投票率47.16%、有権者数423,614/昨年9月の前回衆院選投票率は64.77%)
当109,464 亀井善太郎自新〈公〉80,450 後藤祐一 民新〈国〉9,862 笠木 隆 共新 
得票数合計199,776


◇大阪9区(投票率52.15%、有権者数393,910/昨年9月の前回衆院選投票率は67.56%)
当111,226 原田憲治 自新〈公〉92,424 大谷 信盛 民元〈国〉17,774 藤木 邦顕 共新 得票数合計205,424


この数字から自民党(各当選者)の得票率を見ると、[神奈川16区=25.8%、大阪9区=28.2%]です。


つまり、ここから見えるのは各メディアがほめ讃え、与党(自民党公明党)と政府が自画自賛するように『この補選の勝因は、安倍・新政権の意欲的な政策が国民一般から高く評価された結果である!』などとするのは到底ムリな屁理屈に過ぎないと思われることです。


母集団全体からの無作為抽出の完全実施を前提とする統計学上の理屈(60%未満の有効回答率の場合の調査自体の信頼性の崩壊)を引き合いに出すまでもなく、たまたま、この特異な(異常に低い投票率の)二つの補選で「約四人に対し一人」程度の支持を得たに過ぎないのに、何故これが全国の投票者を対象にした場合の圧倒的勝利の反映だと言えるのでしょうか? 


<注>有効回答率(or有効投票率)が60%未満の場合のアンケート調査(or選挙)の場合は、その調査(or選挙)の信頼性が著しく低くなることの理論的根拠については、下記(★)を参照。
★田村 秀著『データの罠、世論はこうしてつくられる』(集英社新書)


それどころか、本日の福島県・(前)佐藤知事の官製談合事件を巡る逮捕劇(選挙資金絡みの収賄疑惑)や和歌山トンネル談合事件(現在、発火・延焼中?)などの事例で見られるとおり、特に与党がかかわる金権選挙の体質には非常に根深い病巣(=宿痾)が取り憑いています(これについては、“事実上、カネで選挙行動を決めることに罪の意識がない一部の日本国民(有権者サイド)”にも大きな責任がある)。


従って、今回の補選の結果である「約四人に対し一人程度の支持」から金権体質によるゲタ履きの要因(約1割〜1割5分程度)を差し引けば(この数字は筆者が傍証を駆使した独断推計)、精々のところ「約五人に対し一人程度の支持」がいいところではないか、と思われます。


いずれにせよ、このような「日本の選挙の情けない実情=品位(dignity)を失った日本の民主主義の実態」(異常な低投票率と金権選挙を是認する有権者の低劣な意識)について疑問を提起し、日本の民主主義に品位を取り戻す必要性を説き、日本国民一般へ民主主義に関する意識改革を強く訴えることが、ジャーナリズムとしての各メディアの本来の仕事の筈ではなかったでしょうか?


それどころか、日本のメディア(主に新聞、テレビ)は、このように「品位(dignity)を失った異常な日本の民主主義の現状」を意識的に政治権力におもねて看過・放置する一方で、日本政府が『美しい国づくり』の名の下に『アセンブラージュ型監視国家』の道(=強引な共謀罪の導入、教育現場への市場原理主義の導入など)へ邁進することをむしろ奨励している節があります。


<注>アセンブラージュ型監視国家
クイーンズ大学(カナダ)のディヴィッド・ライアン教授が示唆する超監視型社会のモデル。そこでは、国家による直接的な監視とマーケティング市場原理主義)的な監視手法とが結びつき、その監視が高度にネットワーク化されるため我われ国民は自分たちが監視されていることさえ気づかないようになる。詳しくは、下記(◆)を参照。
佐々木俊尚著『グーグル Google、既存のビジネスを破壊する』(文春新書/p232〜p234)


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【気分転換】風景、晩秋の北海道(撮影、2006.10.20〜10.22)


日本の[民主主義の品格を失った実情]に腹を立てるだけでは精神衛生上よくないので、気分転換に「爽やかな晩秋の北海道の風景」をご覧ください。


札幌の風景、旧北海道庁


札幌の風景、北大植物園


札幌の風景、大通り公園(テレビ塔の遠景)


札幌の風景、円山公園


小樽の風景、小樽運河


小樽の風景、旧北海道拓殖銀行本店(現在はホテル)


小樽の風景、旧北海道銀行本店(説明パネル)


小樽の風景、旧北海道銀行本店


小樽の風景、旧日本銀行小樽支店(現在は金融資料館)


小樽の風景、都通り商店街


小樽の風景、喫茶店・光(都通り商店街・・・現存する日本で最も古い喫茶店?)


札幌の風景、北大キャンパス


札幌の風景、北大ポプラ並木周辺


札幌の風景、北大ポプラ並木周辺から手稲山方向を望む


札幌の風景、北大ポプラ並木周辺のコスモス畑


札幌の風景、北大ポプラ並木周辺のななかまど


札幌の風景、宮の森・三角山あたりの紅葉