toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

【続編】ポスト「美しい国」に掛けられた「小泉の呪い」を解く鍵はサルコジ・フランスの政治動向にある


[副 題]【続編】ポスト・モダンの知を求め動揺する「フランス共和国の擬人化された女性像」


★ここでは、[2007-09-24付toxandoriaの日記/ポスト「美しい国」に掛けられた「小泉の呪い」を解く鍵はサルコジ・フランスの政治動向にある、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070924]のコメント&レスと[前の記事の主要部分]を併せて【続編】としてUPしておきます。


★しかし、その内容は[2007-09-24付・記事]と同じではなく、新しい情報を加味しつつ再編成したものです。


『週間シネマガジン、http://cinema-magazine.com/new_starlog/star87.htm』より
カトリーヌ・ドヌーブ』=フランス共和国の擬人化された女性像・マリアンヌ(Marianne)のモデルの“大御所”



『“2000年の彫像・マリアンヌ”のモデルとなったレティシア・カスタ』 presented by http://www.laetitia-casta.net/castapedia/Marianne


・・・2000年度(〜)におけるフランス共和国の擬人化された女性像・マリアンヌ(Marianne)のモデルに、女優レティシア・カスタ(Letitia Casta)が選ばれています。これ以前のマリアンヌ(女性像、女神像)にはブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)、カトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)、ミレーユ・ダルク(Mireille Darc)が選ばれています。



ドラクロワ民衆を導く自由の女神』Eugine Delacroix(1798-1863)「La Libert・guidant le peuple」 1830 259ラ325cm  oil on Canvas Musee du Louvre Paris


・・・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』でもマリアンヌは描かれています。彼女はフランス革命の精神である「公共(共同の利益)・自由・平等」(=交換的正義と配分的正義のバランス/確率論的予測可能性と予測不可能性のバランス/正義(Justice)の二つの公正要素=公正(Fairness)と公平(Impartiality))の象徴です。


・・・・・・・・・


[1]


[2007-09-24付toxandoriaの日記/ポスト「美しい国」に掛けられた「小泉の呪い」を解く鍵はサルコジ・フランスの政治動向にある]へのコメント&レス


o_sole_mio 


『いつもTBありがとうございます。


とうとう安倍「美しい国」政権が瓦解しました。しかしながら、小泉、安倍の両政権を通じて、自民党だけでなく世論も保守回帰が進んだのではないかと思われます。


福田政権の誕生でその傾向は一旦減速するものと思われますが、福田さんにしてもそのベクトルはタカ派であり、決して安心はできないと思われます。従って民族主義の台頭や憲法改正や重武装化を容認する動きには今後ますます警戒していく必要があると思います。』(2007/09/24 23:20)


toxandoria 


『o_sole_mioさま、こちらこそです。


●おっしゃるとおり、日本政治におけるタカ派のベクトルは、むしろ高まっていると思います。しかも、日本国民自身が殆ど無自覚のままで・・・・。


●日本のこの異常さは、イラク参戦の反省の上でイギリス労働党・ブラウン政権の支持率が高まっていることなどと対比すると良く見えると思います。→ (参照/下記、注記★1、注記★2)


<注記/★1>


『英労働党大会、高支持率背景に早期解散熱望』、http: //www.sankei.co.jp/kokusai/europe/070924/erp070924000.htm


ブラウン首相は、就任後に“米英の特別な関係”を強調する一方でブッシュ米大統領と距離を置きイラク南部バスラ中心部からの英軍撤退などでブレア政権からの「変化」を印象づけるのに成功している。ブッシュと行ったイラク戦争は誤りであり、もはや今は「テロとの戦い」一本槍の時代ではないという認識が英国民一般には広がっている。


<注記/★2>


また、2007年9月14日付の毎日新聞は「2003年3月のイラク戦争開戦以降から、これまでの間に40カ国以上がイラク復興支援などの名目で軍部隊を派遣したが、今では治安悪化や国内世論の反発などから既に少 なくとも15カ国が部隊を引き揚げたため、櫛の歯が欠けたように多国籍軍の構成がやせ細っている」と報じている。


●「小泉劇場の “狂気+いかさま”」と「安倍の国の“美しい右寄り幻想”」に対する異常に高過ぎた支持率を省みるだけでも、日本における<極右勢力の増殖 → 与党政治・右傾化>のマグマの燃焼力の強さが分かります。のみならず、メディアがファシズム化への条件(=B層拡張戦略、民放テレビ番組内容の低劣化促進)を準備しています。


●カギは、やはり「核」を巡る問題だと思います。この意味でも今後のフランス・サルコジ政権の動向を注視すべきだと思います。


●あまり大きなニュースとなりませんでしたが、9/10の仏独首脳会談でサルコジ大統領が「核共有」をドイツへ持ちかけ、メルケル首相がドイツ連邦憲章などを盾に、この申し入れを即座に断ったと報じられています。 →(ドイツの週刊誌・シュピーゲル9・17発売号)


●仏←→米(サルコジ←→ブッシュ)の急接近の裏には、米国型市場原理主義によるフランス経済の改革という大義名分の他に、「仏=米の核コネクション」(核燃料の生産・管理及び核弾頭等の管理技術はフランスが優位に立つと看做される)があると思っています。


●フランス内政の問題では、極左と極右の硬直化がフランス民主主義の弱点となっています。従って、これらの諸要因が相俟ってフランスとEUの結束が揺れる可能性もあると思います。


●いずれにせよ、重武装化・核装備化を狙う日本の極右勢力(及び軍事産業ビジネス勢力)もこの辺りの動向を注視しているはずです。』 (2007/09/25 10:35)


[2]


[2007-09-24付toxandoriaの日記/ポスト「美しい国」に掛けられた「小泉の呪い」を解く鍵はサルコジ・フランスの政治動向にある]の主要部分の再録


●現代は、ますます「知」のあり方とその有効性の問題が突きつけられる時代となっています。言うまでもなく、およそ1930年代から2000年代までの間にフランスの知識人たち(例えば、アンドレ・ジッド、アンドレ・マルロー、ジャン・ポール・サルトル、ジャン・ヴィラール、レヴィ・ストロースミシェル・フーコージャック・デリダ、ピエ−ル・ブルデュージャン・ボードリヤールレジス・ドブレなど)が、絶えず、非常に大きな影響を世界へ与え続けてきました。


●このため、ドイツのナチズムに対する深い反省と辛酸の歴史経験がもたらした「ゲルマン的知」を基盤とする「債権者(investor)の権利を守る立場の法制・簿記会計法等の上に構築されたEU欧州連合)型市場主義」が、そのEU欧州連合)の生みの親とされるフランスのエコノミストジャン・モネ(Jean Monnet/1888-1979/経済官僚で、戦時行政や第二次世界大戦後のフランスの近代化を推進し、EUの概念を創案したため“ヨーロッパ統合の父”と呼ばれる)らの努力によって、いわゆるマネーゲーム型の経済社会へ傾くアメリカ型市場原理主義へのアンチ・テーゼとして構築されてきたことは必然であったと看做すことができます。


●ところで、2007.9.24付・共同通信(ウイーン、パリ、ワシントン発)の報道によると、「国連安全保障理事会五常任理事国+ドイツ」でイラン核問題を話し合う六カ国外相会議が今月の28日にニューヨークで開かれることになったようです。また、これに先立ち、9月21日にワシントンで行われた「ライス米国務長官=クシュネル仏外相」の会談では、これまでになく米・仏両国の足並みが揃ったとも報じられています。


●この背景には、経済政策と外交政策の両面で対米接近中と看做されるサルコジ仏大統領の存在があることはいうまでもありません。しかしながら、そのフランス国内では、サルコジ新大統領の「大統領選挙」前後における言行の変化、米国型市場原理主義への急接近、あるいは与党の体制基盤を強化するための極右勢力への接近(選挙後の分析で、サルコジ勝利を支えた一角が特に富裕高齢者層であったことが明らかとなりつつある)などが波紋をもたらし、フランス社会に動揺の兆しが窺われるようです。


●ところで、フランスには、フランス革命の精神である「公共(共同の利益)・自由・平等」を象徴する女性像・マリアンヌ(Marianne)を選ぶ慣わしがあり、2000年度(〜)におけるフランス共和国の擬人化された女性像・マリアンヌ(Marianne)のモデルには女優レティシア・カスタ(Letitia Casta)が選ばれました。これ以前のマリアンヌ(女性像、女神像)にはブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)、カトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)、ミレーユ・ダルク(Mireille Darc)が選ばれています。


●そして、我われはこのフランスの擬人像のルーツが、あのドラクロワの名画『民衆を導く自由の女神』(=交換的正義と配分的正義のバランス/確率論的予測可能性と予測不可能性のバランス/正義(Justice)の二つの要素=公正(Fairness)と公平(Impartiality)/参照、下記記事▲1、▲2)であることを心に深く記銘し、注視し続けるべきだと思われます。果たして、この擬人像たるフランス美女たちの顔がどこまで歪むことになるのか・・・を。おそらく、このフランスの予期される動揺の波紋は、今後の日本の政治・経済・社会へも大きな影響を与えることになると考えられます。


▲1 2007-09-21付toxandoriaの日記/「ケインズ政策」へ救いを求める土壇場の「ブッシュ流・市場原理主義の没落、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070921


▲2 2007-09-15付toxandoriaの日記/映画『ブラック・ブック』に見る“美しい国”崩壊の危機の真相、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070915


●この問題意識の具体的内容は、機会があれば別途に、より深めて書いてみたいと思っています。従って、当記事はその“予告編”の位置づけです。以下は、この<問題意識のヒント>を与えて頂いたsophiologistさまのTB内容と、それに対する筆者のコメントの載録です。


●なお、当[2]の<結論>として『toxandoriaが書いた最後のレス部分』(付、2007-09-24付・記事)を再録しておきます。



『 sophiologistさま、TBありがとうございます。


●“ポスト・モダンは、脱近代主義の運動であるが、近代主義から脱却できずにいた”(=プラトニック・シナジー理論から導かれた帰結)という問題提起は非常に重要だと思います。これは、おっしゃるとおり、kaisetsu氏がご指摘されていた大澤真幸氏の「アイロニカルな没入論」に重なると思います。


●そして、「ブッシュの過剰な市場原理主義バカの壁)への没入→その“バカの壁”の“いかさま”小泉劇場への伝播→“いかさま”美しい安倍の国の崩壊」も、この視点にほぼ重なる問題だと理解しております。


●そして、今や、この大いなる“ポスト・モダンの矛盾”がEU欧州連合)の中心の一つ、サルコジ政権下のフランスで顕在化しつつあるのではないかと思っています。


●例えば、それはベルナール・クシュネル外相(元・社会党左派)の「イラン問題に関する戦争必要論」でブッシュ政権へ接近した最近の発言であり、あるいはエ マニュエル・トッド(http://www.fujiwara-shoten.co.jp/book/todd.htm)の「戦争を不要にする武器として の核武装必要論」(2004年の来日時の発言=毎日新聞等に掲載)です。


●このような観点から、この10月以降のフランスの政治動向は特に注視すべきと思っています。 (2007/09/24 11:48) 』


[3]


[2007-09-24]付toxandoriaの日記のレス(to sophiologistさま)の中で、当記事に関連する部分の再録


>・・・ 欧州型市場経済とは、債権者という差異を投資家の同一性から保護する意味合いがあるのだと思う。問題は、投資家も差異になりうるのであるが、貨幣・資本の 量的増加(魔女の予言/マクベスの「投機」)しか眼中にないので、バブル、バブル崩壊、そして、社会の解体へと向かうしかないのである。・・・


●欧州型市場経済アメリカ型市場原理主義とは違う意味で非常に厳しい側面(広い意味での正義を視野に入れた、より厳しい契約概念)があります。


●例えば、欧州委員会が、欧州および全世界におけるファスナーや関連機材の市場でカルテルを結んでいたとして日本のYKK、プリム、コーツその他4社・団体に 対し合計3億2,864万4,000ユーロの制裁金を科したというニュースが飛び込んできました。 → 参照、、http: //jpn.cec.eu.int/home/news_jp_newsobj2429.php


●また、ポールソン米財務長官は9月21日 に訪問先のカナダで記者会見し“強いドルが米国の国益にかなうと確信している”と述べて外国為替市場ではサブプライムローン問題関連での米国の利下げを受 けてドル相場が下落している「過度のドル安傾向」へ警告を発したことが報じられています。


●これは、ブッシュ大統領の対ケインズ政策回帰傾 向(記事で書いた、連邦住宅局(FHA)への過度の縋りつき)への牽制発言とも考えられます。 → 参照、、http: //www.nikkei.co.jp/news/main/20070922AT2M2200F22092007.html


●ここで見られるのは、明らかに市場主義の原理的な部分での<欧州VSアメリカ>の鬩ぎ合いです。


●自由市場におけるオープンな取引を活かすという点で両者の価値観は一致していますが、やはりここでは「アングロサクソン型金融ビジネスの手法」(投資者 (investor)の権利を重視する法制・簿記会計法等=米国型市場原理主義の土壌)と「ジャーマン・フランコ(ドイツ・ヨーロッパ大陸)型金融ビジネ スの手法=フランクフルトなどで培われたEU型市場主義」(債権者(creditor)の権利を重視する法制・簿記会計法等の土壌)の決定的な違いが浮き 彫りになっています。


●これは未だ十分に理解していないのですが、喩えるなら、それは「商業銀行型金融仲介機能」と「投資銀行型金融仲介機能」のいずれを重視するかのスタンスの違いと看做すこともできそうです。そして、その根本には重商主義奴隷貿易植民地主義・フロンティア開拓などにかかわる歴史的な資金調達経験の決定的相違があるような気がします。


●いずれにしても、アメリカ型市場原理主義は、恰も西洋中世における十字軍(特にテンプル騎士団/彼らは王族や貴族らの財産を預かり独自の金融システムを発達 させた/彼らの組織は国際銀行の一つの流れの発祥地点と看做されている)を支えたカルト的熱狂のように“確率論的リスクと超越的実現不可能性”を混同して いるのではないかと思っています。』 (2007/09/22 14:17)


・・・・・


(追記)


●『小泉改革の欺瞞性(=いかさま)』の本質は、「アングロサクソン型金融ビジネスの手法(投資者 (investor)の権利を重視する法制・簿記会計法等=米国型市場原理主義の土壌)」VS「ジャーマン・フランコ(ドイツ・ヨーロッパ大陸)型金融ビジネ スの手法=フランクフルトなどで培われたEU型市場主義(債権者(creditor)の権利を重視する法制・簿記会計法等の土壌)」の優劣については未だに結論が出ていないにもかかわらず、恰も「アングロサクソン型金融ビジネスの手法」が唯一絶対であるかのような風説を、竹中平蔵アメリカ被れの御用学者たちを総動員して吹聴し、メディアも総動員して数多の国民を徹底的に洗脳したことにあります。


●例えば、小泉改革アメリカと日本では、それまでの証券ビジネスの社会における定着度が異なるにもかかわらず、銀行業務と証券業務の垣根さえ取り除けば、日本もアメリカのように効率的な経済社会を実現することができるというバラ色の脚色を垂れ流しました。そこで、目の敵にされたのが日本で行われてきた凡ゆる経済・金融取引にかかわる「慣行」(=歴史的な暗黙知)です。


●無論、それらの中には“悪しき慣行”があるかも知れません。しかしながら、よく考えてみれば人間社会の凡ゆる局面には「予測不可能性(Estimate Impossibility)」が満ちみちているのが当たり前のことで、実は、それらが絶えずもたらす不安を避ける知恵こそが歴史経験的な知恵としての「慣行」であったと看做すことができます。


●そもそも、銀行業務(信用)と証券業務(投資・投機)の垣根を取り払う金融ビッグバン位のことで大方の「予測不可能性(Estimate Impossibility)」(≒社会的な不安の湧出源)が、この日本から消え去るはずはなかったのです。そして、今や世界が“地球環境、資本主義の暴走、資源と貧困問題、テロ・戦争・宗教対立”などについての「予測不可能性」と“社会福祉制度”の「のっぴきならぬ劣化傾向」に怯える時代となっていることは周知のとおりです。


●従って、これからの経済・社会・政治(=資本主義経済社会のガバナンス)が<地球環境、経済成長、社会福祉の三つの均衡化>と<正義についての正しい理解>を視野に入れることは当然と考えるべきであり、この意味で<小泉→安倍政権>が取り組んできた大企業支援へ傾斜する「上げ潮路線」(=小泉改革のトリクルダウン思想の継承/過剰な米国型市場原理主義への肩入れと格差拡大の放置)と「時代錯誤で観念的な右傾化への肩入れ」は明らかにバランスを著しく失っていたと考えられます。


●因みに、欧州委員会世論調査である『ユーロバロメータ』(http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=10268&oversea=1)によると、EU圏・ヨーロッパの人々の約90%は“これからも生活の質を高めるためには経済発展・社会福祉・地球環境の三つのバランスを取ることが最も重要だ”と考えていることが分かります。これに加え、わが日本が真剣に見習うべきことは、もはや今はブッシュ流の「テロとの戦い」一本槍の時代ではないという認識がブラウン政権下の英国民一般に広がっているという現実です。