toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

「環境税」をめぐる族議員と高級官僚の暗闘に透ける壮大な「国家的ネコババ・システム」の闇


【画像1】ジャン・ギャバン主演、映画『現生(ゲンナマ)に手を出すな』(touchez pas au grisbi)より、グリスビーのブルース



【画像2】他人を困らせるネズミの実像(宮沢賢治『童話の国』より/2007.11.10、花巻にて撮影)




【画像3】イーハトーヴ、晩秋の光景1(2007.11.10、花巻にて撮影)


<注記>イーハトーヴ(Ihatov)は宮沢賢治(1896-1933)がエスペラント語を想定して創った言葉で、それが意味するのは賢治の想像した理想郷そのものです。現在は美しい自然に恵まれた岩手県の代名詞として使われていますが、そのイーハトーヴの中心地が賢治の出身地でもある花巻(花巻市)です。“花巻”という個性的な地名は、往年の北上川がこの辺りで蛇行していたため春になると川面に散り落ちた桜の花が渦を巻きながら流れていたという絵のように美しい光景から名づけられたとされています。












・・・・・これらの画像は、当記事の内容と直接の関係はありません。



道路特定財源(ガソリン税)を巡る“五匹のハエ”による暗闘)


環境省は、旧来の「環境税」構想(電気・ガスなどに炭素1トンあたり2,400円を課税する)への財界などからの反発に配慮して、それに代わり、既存の税制を活用する方法の検討を開始しました(情報源:2007.11.9付・日本経済新聞)。環境省が先ずターゲットにするのは、原油輸入のプロセスで徴収される約5,000億円(H18年度データ)の石油・石炭税です。この税収については「エネルギー対策特別会計」を通じて、その一部が既に低公害車風力発電の普及などのために使われているという実績がある(ことになっている?)からです。


石油の輸入に関しては、この他にガソリン税揮発油税地方道路税/1リットル当たり、揮発油税48.6円、地方道路税5.2円)、石油ガス税LPガス)、軽油引取税軽油)、航空燃料税(ジェット燃料油)が徴収され、これらの諸税に約5,000億円の石油・石炭税を含めた合計は約4.9兆円(石油連盟資料/H18年度/この約4.9兆円には更に5%の消費税が上乗せされる二重課税システム)であり、そこから地方税軽油引取税(約1兆円/同前資料)を除いた税収合計(約3.9兆円/同前資料)は国税収入の所得税(約16.5兆円/H19年度)、法人税(約16兆円/同前)、消費税(約11兆円/同前)に次ぐ税収規模となっています。なお、ガソリン税(総額、約3兆円/H18年度データ)の使い道は道路建設に限る道路特定財源です(参照/石油連名資料、http://www.46sekisho.jp/chisiki/ani.htm)。


ところで、この揮発油税(約2.9兆円/H18年度/参考:地方道路税=約0.3兆円)の税率は税法上で1キロリットルあたり24,300円ですが、そもそも“戦後の道路復興・整備”を大義名分とする租税特別措置法昭和32年3月31日制定26号の第89条第2項)の規定によって、特に1993年(平成5年)12月1日〜2008年(平成20年)3月31日までの間は道路整備を一層促進するためとして倍額の48,600円が徴収されてきました。このため、当年度末の2008年3月31日でこの暫定徴収は終了するはずのものです。一方、参院の第一党となった民主党は、本則の2倍の暫定税率で徴収されてきた揮発油税の本則部分を一般財源にしたうえで、暫定税率による上乗せ部分を「環境税」に切り替えることを狙っています。


しかし、自民・民主両党による、このような<既得権的な税収>に関する議論は基本的に筋違いだと思われます。連立与党と福田政権は、この暫定税率の適用期間の延長を目論んでいる上に、11月13日に国土交通省が発表した「道路中期計画(素案)」では、今までどおりの道路特定財源を全て注ぎ込んだとしても、道路事情に関する深刻な地域格差を解消するには財源が絶対的に不足すると臆面もなく主張しています。


これは、意地汚くも、今や「日本社会において“市民権”を得つつある格差論」を逆手に取った<既得権益的発想>による“良いとこ取り”の傲慢な詭弁です。もっと言うならば、その実態は省庁間の「既得権益の奪い合い」と腹黒い族議員らの「懐(ふところ)具合を巡る旧態依然たるネコババ感覚の利権争い」に過ぎません。


ここで見られるのは、「防衛疑獄」関連で指摘した「五匹のハエ」(参照、下記記事★)による暗闘の“環境バージョン”です。ただ、この運輸・エネルギー部門をめぐる利権のネットワーク(ネコババをめぐる暗闘の場面)は、渦中の防衛利権よりも更に複雑な構造となっています。なぜなら、それは運輸・交通・エネルギー・環境の各分野に広く跨り、「特別会計」などを介した遣り繰りで相互に波及する構造になっているからです。


★2007-10-19付toxandoriaの日記/日本の軍需・防衛利権にたかる「五匹のハエ」とは?、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071019



独立行政法人官民人材交流センターなど“国家的ネコババ”のため偽の偽装CPU(中央演算処理装置)とは?)


上で見たとおり、ネコババ的で杜撰な経理が疑われるため、より厳密な合理的説明がない限り今後の一層の道路整備の必要性に関する表記の<暫定徴収の延長>を認めるべきではないと思われます。因みに、2007.11.10付の日本経済新聞は、15ヶ所の「独立行政法人」が繰越欠損金を処理するため約5兆円に上る政府出資金が使われていたと報じています。またまた、これは恐るべきほどの大福帳感覚(=ドンブリ勘定)ですが、これは過去5年に及ぶ小泉構造改革のインチキ(=小泉偽装構造改革)の化けの皮が剥がれた瞬間です。


独立行政法人の杜撰な経理の穴埋めに、これほど巨額の税金を注ぎ込むという野放図な財政処理の実態が明らかにされてしまったからには、その使い道が名目上は道路建設に限るとは言いながらも、独立行政法人の杜撰な経理の穴埋め金額にほぼ匹敵する5兆円規模の巨額な税金が“道路整備の促進”という漠として曖昧な名目のままで、これからも延々と徴収され続けることに疑義が湧いて当然です。ここで透けて見えるのは<ポンジーゲーム(ネズミ講)を主催するペテン師>らの場合と同じく、善良な市民・国民を巧妙に騙すための詭弁術です。


<注>1920年代のボストンで「ネズミ講」を始めた人物とされるチャールズ・ポンジー(Charles Ponzi/1882-1949)の名前から、アメリカではネズミ講がポンジー・ゲームと呼ばれる。金利、経済成長、税収、財政赤字の関係をいい加減に(というよりも、自らのネコババ・システムにとって都合が良いように)しか説明できない日本の政治家らはチャールズ・ポンジーと同レベルのペテン師と看做すことができる(詳細は下記URL★を参照)。


http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Ponzi


ついでに、過去5年に及ぶ小泉構造改革(プラス“安倍の美しい国”の偽装工作)のインチキぶりの化けの皮が剥げた瞬間をもう一つだけ挙げておくならば、それは、小泉政権下で独立行政法人化したばかりの「国立大学法人計87校」のうち約7割の60校で総計65人の文部科学省出身者が新設の役員ポストへ就いていることがバレたと各紙が報じていることです。これは、事実上の「特権的な公認の天下り」であり、国立大学の独立行政法人化で「理事や監事のポスト」が文部科学省の新たな天下り先になる可能性について警鐘を鳴らしてきた一部の見識ある方々の懸念が現実となったことを示しています。


しかも、2007年10月22日付・産経新聞http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071022-00000906-san-pol)によれば、政府の「有識者懇談会」が国家公務員の再就職の斡旋を一元化する「官民人材交流センター新人材バンク、渡辺内閣府特命担当大臣の所管)」について纏めた報告書では、高級官僚が独立行政法人などに再々就職を繰り返して多額の退職金を受ける、いわゆる「渡り行為」の早期禁止など、最も重要な改革案の中枢部分が官僚の指示によってホネ抜きにされていたことが判明しています。


かくの如く、小泉政権→安倍政権→福田政権には偽装工作で一般国民を小バカにするというホンネが連綿と受け継がれているのです。つまり、この薄汚くも腹黒き輩の“ドス黒い特権意識の流れ”を一言に纏めて言うならば、それは『族議員・高級官僚らによる、自らの懐具合についてのネコババ的調整の伝統=税金ドロボーの合法化システム』という恐るべき手練手管ということになります。


ところで、上で見てきた運輸部門における約5兆円規模の石油エネルギー関連の税収は日本の温暖化ガス排出量全体の約2割に過ぎないのです(参照、http://www.jccca.org/content/view/825/730/)。つまり、日本の温暖化ガス排出量全体の約2割に過ぎない石油エネルギー関連の税収に取り組むだけでも、日本の環境行政は、これほど<大きな混迷の壁>(=族議員・高級官僚らが仕込む狡猾なトリックの壁)にぶちあたってしまうのです。そして、このような『ネコババ的調整のための腹黒い伝統=税金ドロボーの合法化システム』の偽装CPU(Central Processing Unit/中央演算処理装置)の役割を担うのは「特別会計」のシステムに他なりません。


しかも、この日本の「特別会計」が如何に異常な規模となっているかは下の大まかなフレーム・データ◆を見るだけで一目瞭然です。やはり、<国家規模のネコババ権益をめぐる暗闘>の奥深くには一般会計、独立行政法人、利権絡みの天下りなどを相互に遣り繰りするための偽装CPU装置に当たる「特別会計というサンクチュアリ(聖域 or やんごとなき御神体)」が鎮座しているのです。従って、このように異常な事態をもたらした背景として、近代世界に類例が見られぬほど特殊な<日本の特別会計の発展史>をシッカリと見据える必要があります。


将来世代への負担先送りを回避するため「消費税を含めた税制全般の制度再設計に取り組むこと」が重要であるのは当然ですが、先ず何よりも優先して取り組むべきことは、このような<世界に類例がない日本の特別会計の闇>を切開して国家的ネコバ・バシステムの病巣を洗い浚い摘出することによって、日本の統治システムの信用を一刻も早く回復することです。なお、<特別会計の闇>をもたらした、その発展史については稿を改めて書くことにします(厳密に言えば、一度書いた内容を書き直します)。


◆先進国の名目GDPと国家予算の比率(http://www.tsuji-y.com/page057.htmlより)


          A名目GDP B政府支出額 C名目GDPに対する政府支出額の割合
アメリカ合衆国  1059兆円   194兆円     18.3%
ドイツ       240兆円   30兆円     12.5%
イギリス      164兆円   46兆円     28.0%
フランス      163兆円   31兆円     19.0%
日本        506兆円   234兆円     46.2% ← この対A比率の異常な大きさは国家的ネコババを傍証する数字!


D日本の一般会計予算:81・8兆円(2003年度、http://blog.digi-squad.com/archives/000603.html
E日本の特別会計予算:199・7兆円(2003年度、http://blog.digi-squad.com/archives/000603.html
F2003年度の政府支出額(単純合計):D+E=281.5兆円
G2003年度の政府支出額(Fから相互に重複する部分を除外):232・6兆円