toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

『COP13の顛末』に透ける、福田政治の“耐えられぬほど浅薄”な尻の軽さ

toxandoria2007-12-17



<注>COPは、国連の気候変動枠組条約締約国会議( Conference of Parties )の略称。COP13は1995年の第一回会議から数えて13番目になる(参照、http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=589)。


【画像0】山下達郎−CHRISTMAS EVE (English ver.)




【画像1】京都、晩秋の風景2007/嵯峨野1





















【画像2】京都、晩秋の風景2007/嵯峨野2























【画像3】京都、晩秋の風景2007/嵯峨野3
























・・・これらの画像は、当記事の内容と直接の関係はありません。


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『COP13行程表合意=バリ・ロードマップ(2007.12.15)』についての感想を求められた福田首相は『どの国もみんな入っており、素晴らしい成果だ』と述べ、交渉の場(インドネシア・バリ)に出席していた鴨下環境相も『(日本が米国との仲介役となり=日本は米国に同調し具体的な数値による温暖化ガス削減目標の行程表への明記に反対した)かなりの成果をあげたと思っている』と語り、日本政府が果たした“重要な役割”をそれぞれが自画自賛しています。たしかに、今回の「バリ・ロードマップ」までのプロセスでは各国の利害が激しく衝突したため、これを纏めあげることには非常な困難が伴っていました。


しかしながら、果たしてこれは、米国(ブッシュ政権)に媚を売ることばかりに汲々としている日本政府(福田政権)が本当に自画自賛できるほどの上首尾だったといえるのでしょうか? よもや、これも、お得意の『偽装』のための“あわわわわ〜!”ではないのでしょうか? (“あわわわわ〜!”については、下記記事“■1〜■3”を参照乞う)


■1 2007-12-08付toxandoriaの日記/福田総理が『あわわわわ〜!』で掻き消そうとする防衛疑獄と特別会計の闇の深さ、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071208


■2 2007-12-10付toxandoriaの日記/福田総理『あわわわわ〜!』の背後から続々と噴出する裏金づくり「闇の構図」、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071210


■3 2007-12-14付toxandoriaの日記/福田総理『あわわわわ〜!』のもう一つの真相、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071214


ところで、バリの白熱した交渉現場での生々しい“運命の瞬間”(時間切れ間際で米国代表が交渉席に戻ってきた劇的場面)についてはシュピーゲル誌(December 15, 2007/Climate Change Deal Reached after US U-Turnhttp://www.spiegel.de/international/world/0,1518,523570,00.html)が的確に報じていますが、この劇的な瞬間(決着)の背後には用意周到なEU欧州連合)の戦略(そのためのホットラインがバリにいたSigmar Gabirielドイツ・環境相Angela Merkel同・首相の間で待機中であった事実)があったことについても、このシュピーゲルの記事は報じています(下記のCNNの関連記事★も参照乞う)。


従って、EU欧州連合)の交渉努力にもかかわらずIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の調査結果を受けた“25%-40%削減”の数値目標が米国(と日本)の思惑どおり行程表から消えたことは確かですが「別の報告書からこれらの数値が引用できるような形になっている点」と「今回の交渉プロセスで日本を見る世界の目が厳しいものになったこと」を軽視すべきではないと思われます。


★2007-12-14付toxandoriaの日記/福田総理『あわわわわ〜!』のもう一つの真相/CNNニュース、『削減数値拒否すれば米主導の排出国会議を欠席と、EU』についての記述部分/http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071214


ここで是非とも押さえておくべきポイントがあります。それは、そもそも「EUの厳しい削減目標値設定の原点(=強制的排出権取引のコンセプト)が、実はアメリカ発の科学的知見(酸性雨評価プログラム(NAPP、1980)、http://www.esrl.noaa.gov/csd/AQRS/reports/napapreport05.pdf)によるものである」こと、「世界における二酸化炭素排出量のトップはアメリカ(総排出量の21.9%)で、ロシア(6.2%)以外のヨーロッパ各国はドイツ(3.2%)を除けば3%未満のレベルである」こと、および「今や、米国内の議会、共和・民主両党(特に上院)および世論一般の過半以上(おそらく7〜8割)が温暖化についての大きな危機意識を共有している」ことの三つです。


因みに、日本が占める二酸化炭素排出量の割合は4.7%で、これに中国(17.4%)、インド(4.1%)を加えると、これら上位5カ国の排出量合計は実に54.3%となるのです(出典、Economics, Technology & Media、http://www.plateaus.com/econ/blog/archives/258、黒田 豊・西海岸メディア通信、http://www.orixrentec.co.jp/media/profile.html)。


もう一つ見逃すべきでないアメリカの国内事情があります。より具体的にいえば、それは“ブッシュ政権による京都議定書・離脱”から今回の“COP13、運命の瞬間”(時間切れ間際で米国代表が交渉席に戻ってきた劇的場面)に至るまでのアメリカの国内事情の変化ということです。


実は、クリントン政権が“京都議定書、批准”の要請を議会へ送ることができず、ブッシュ政権が“同議定書”からの離脱を宣言した背景には『バード=ヘーゲル決議』(Byrd=Hagel Resolution、1997/上院における92:0という圧倒的な議決/http://energy.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=PressReleases.Detail&PressRelease_id=234715&Month=6&Year=2005&Party=0)の存在があり、この決議の意義は“アメリカが温暖化ガス削減の行動を起こすときには発展途上国の有効な参加条件が必須”だと書いてあることです。


また、この動向にオーバーラップするのが、ブッシュ政権の強力な経済的支持基盤であるエネルギー・石油ビジネス関連の利害に直接かかわる「下院のエネルギー・商業委員会」(議長=テキサス州選出の共和党・ジョー・バートン下院議員)の存在であり、しかも同議員は生粋の気候温暖化懐疑論者なのです。


しかしながら、その後のアメリカでは同時進行的に、科学者の強い警告、市民運動などに影響された「各州レベル(カリフォルニア州マサチューセッツ州ロード・アイランド州メリーランド州オレゴン州ニューメキシコ州アリゾナ州ノースカロライナ州など)での温暖化ガス規制の動き(キャップ・アンド・トレード・プログラム/Cap-and-Trade Program 、http://www.renewableenergyaccess.com/rea/news/story?id=45747)」が活発となっており、この動きがブッシュ政権への大きな圧力となりつつあります。


さらに、2005年6月に米国上院(超党派、多数派議員)が温室効果ガス排出に強制的制限の設定を求める『ビンガマン=ドメニチ決議』(Bingaman=Domenici Resolution/賛成53票対反対44票/http://energy.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=PressReleases.Detail&PressRelease_id=234715&Month=6&Year=2005&Party=0)を可決しています。当決議に法的な拘束力はありませんが、今やアメリカの上院では強制力を持つ温暖化ガスの規制が必要だという認識が広がっていることは間違いないと思われます(出典:同上、Economics, Technology & Media)。


また、政権を支えてきた宗教右派の一部には温暖化ガス対策へのより積極的な行動をブッシュ政権へ求める動きが見られるようになっており、あるいは米エネルギーおよび製造大手企業9社と金融会社1社が4環境団体とともに、地球温暖化対策として温室効果ガス削減の義務化を求めて同盟を結成したという動きもあります(参照、http://www.news.janjan.jp/world/0702/0702039377/1.php)。


無論、これらの動きには、上から強力な法規制を被せられる前に先手を打つことで対抗勢力のパワーを自陣営にとって有利になるよう封じ込める意図があるとしても、アメリカ政府の根本的な政策転換への圧力となりつつあることは間違いがなさそうです。


これらのアメリカ国内事情の経緯とその急速な変化(=国民および議会における温暖化ガス対策にかかわる意識についての地殻変動)に無頓着のまま、相変わらず「日米平和友好協会」(守屋防衛次官の問題で、その実像が渦中の「防衛疑獄」の巣窟であったことを曝け出してしまった組織/メンバーが一同に会した画像がコチラにあり、参照乞う → 『とむ丸の夢/インド洋給油と知日派』、http://pokoapokotom.blog79.fc2.com/blog-entry-545.html)の如き怪しげなパイプに群がる“米国の知日派親日派・好日派”との蜜月の甘い汁(札束=カネ)を啜るしか能がない福田政権(および、その支持集団)の政治手法は、根底から日本の国益を害してきたという意味で『暴政の極み』であり、日本国民と日本の民主主義に対する冒涜です。情けないことですが、日本の地球環境問題への基本姿勢も、このような「日米防衛疑獄関係」のバックグラウンドの実像とドッコイどっこいです。


このような意味で、『COP13の顛末』の真相(アメリカの地殻変動(国内事情・国民意識の変化)を熟知したEUの高度な戦略の存在)を見誤っただけでなく、日本政府(福田政権)は国内問題である「環境税」の検討でも甚だしいほどの迷走ぶりを繰り返しています。例えば、その実態は「国家的ネコババ・システムに変更をもたらす恐れがある環境税をめぐり、族議員と高級官僚らが暗闘を繰り広げる」という実に由々しき事態となっています(下記記事▲を参照乞う)。また、現在の日本経団連(御手洗会長)は、『キャノン=鹿島建設=大分県(知事は元通産官僚)=政治家=コンサル絡み の巨額使途不明・脱税事件』への対応に忙殺されているためか、日本企業に温暖化ガス排出の上限を設けるキャップ&トレード型の国内排出権取引制度の導入は絶対に認められないという、まことに軽薄な考えを表明しています(情報源:2007.12.10付・日本経済新聞http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071210AT3S1000G10122007.html)。


▲2007-11-19付toxandoriaの日記/「環境税」をめぐる族議員と高級官僚の暗闘に透ける壮大な「国家的ネココババ・システム」の暗、 http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071119


このような日本経団連トップのピント外れ(理念と哲学に欠けた、札束(サツタバ)原理主義?)も、近未来における日本の国益を大きく損なう事態をもたらすと思われます。おそらく、環境問題の分野では、高度な人間理解と科学的な知見に裏打ちされ、しかも的確な世界情勢の分析を得意とするEU欧州連合)の優れた国際戦略の前で、日本企業と日本政府が絶望的な敗北感の連続を味わうことになる恐れがあります。例えば、分野は異なりますが、「食の安全基準づくりの問題」では、経済界の動きの鈍さもあり、今や“気がつけばEU基準!”という<厳しい世界の現実>に日本は包囲されています。


そればかりか工業規格、会計基準、金融・投資基準づくりなどでもEUが常に一歩以上を先んじており、発展途上国などが一斉にEU基準に従うという「EU基準のブランド化現象」が広がりつつあります。従って、今の日本のような私利私欲に明け暮れるばかりの「“政・財・官・その筋&学(コンサル)”によるネコババ複合体」(=凡ゆる社会のフィールドに張り巡らされた税金ネコババと裏金着服の形での搾取システム)への安住から、いい加減に目を覚ますべきです。そして、当然のことながら「テロ特措法延長」の問題も、このように冷静な文脈の中で考えるべきです。