toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

「戦争」(イスラエルのガザ侵攻)と「貧困」(非正規雇用問題)の背後に潜む「金融工学の悪魔」

toxandoria2009-01-10



<注記>末尾に「イスラエルによるガザ攻撃」関連・現地発ブログ等の情報を収集・転載してあります。


【画像】映画『チャーリー・ウイルソンズ・ウオー(Charlie Wilson's War)(画像はhttp://blog.goo.ne.jp/bluesky05/e/288a1929a842ac2bf93496c3db8f4ba4より)

・・・監督マイク・ニコルズ、制作トム・ハンクス、ゲイリー・ゴーツマン(2007)、脚本アーロン・ソーキン、出演者トム・ハンクスジュリア・ロバーツフィリップ・シーモア・ホフマン、日本公開2008.5〜 DVD情報は コチラ → http://www.universalpictures.jp/sp/cww/


・・・これも『大いなる陰謀』(参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20090106)同様に、日本では「戦争映画」のジャンルに区分されていますが、実はコメディー・タッチで描かれた「9.11の遠因」を暗示した社会派ブラック・コメディーです。


・・・ジョージ・クライル (George Crile/1945-2006) によるノンフィクション小説を原作とした作品で、テキサス州選出の下院議員チャールズ・ウィルソンがCIAの諜報員とともに、ソビエトアフガニスタン侵攻に抵抗するムジャーヒディーンを裏資金で援助する模様を描いており、パキスタンのハク大統領と同情報部、イスラエル武器商人らが絡んできます。


(関連参考情報)


田中 宇:パキスタンの興亡、http://tanakanews.com/b0326pakistan.htm


・・・チャールズ・ウィルソン下院議員(トム・ハンクス)とCIAらが闇資金で手配し、ムジャーヒディーンへ提供した米国製の先端兵器でソ連軍が壊滅状態となり、結局は1988年4月の「アフガニスタン和平協定」(ジュネーヴ和平協定)でソ連軍はアフガニスタンから撤退します。


・・・映画のラスト場面で、CIAのガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)は「国家情報会議」(NIC: National Intelligence Council)のレポート「国家情報評価」(NIE: National Intelligence Estimates)がアフガニスタンへのイスラム原理主義者の流入が活発化していること、そして、今後は民生部門での巨額資金によるアフガニスタン支援の必要性をウィルソンへ忠告します。しかし、結局、この忠告は、その後、軽視されることとなり、それが「9.11」の遠因となったことが暗示されます。


・・・少し範囲を広げB級作品などもチェックしてみると、前回の記事で取り上げた『大いなる陰謀』、そしてこの『チャーリー・ウイルソンズ・ウオー』の他にも、ブッシュ政権への風当たりの強さを補強するような映画が大統領選挙を前にして米国内で次々と公開されていた事実があるのは興味深いことです。我が国の政治権力者の子弟が芸能界へ入るや否や、民放テレビなどのメディアが総掛かりでゴマすり作品やゴマすり番組を作り始める現象とは異質なものを感じます。やはり、このような観点から見ても、日本の民度(メディア・芸能界も含めた民主主義意識)が低いと言わざるを得ないようです。


・・・昨日(1/9)、オバマ次期米大統領がワシントンで記者会見し、次期政権の情報機関のトップ人事を発表したことは周知のとおりです。米中央情報局(CIA)など16情報組織を束ねる「国家情報」長官(DNI)にデニス・ブレア元太平洋軍司令官が、CIA長官にはレオン・パネッタ元大統領首席補佐官が指名され、イラク開戦を巡る誤情報や盗聴を巡り信頼を失った米情報機関の改革に取り組むと報じられています(情報源:http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090109AT2M0904R09012009.html)。


・・・・・以下、本論・・・・・


[『ガザの悲劇』と『非正規雇用切り』に通底する「貧困」の問題]


金融工学のレゾンデ−トル(raison d'etre)の根幹に「無裁定条件」があります。これは市場取引では大きなリスクを取ってこそハイリターンが期待できるという現実を指しており、それは『ただ(リスク費用の不要な)飯(メシ)はない』というコトバで表されることもあります。そして、些かでも市場の何処かに裁定(鞘取り)のチャンスがあれば市場の一角が必ず蠢き始め、たちまちその落差が解消される(利鞘を抜き取る)ことになります(参照 →http://www1.parkcity.ne.jp/yone/finan/FinanB07.htm)。


しかも、紛れもなく、その地点から巣立ったからこそ、金融工学は凡ゆる創造的技術を開発・駆使して市場における「無裁定条件」を小さくすることができる(ハイリスクの可能性を現在〜未来の時間差の中で縮小できる)と公言するようになりました。「物理学の視点」で経済学を実証・実験科学的に研究する「経済物理学」(高安 秀樹氏、http://www.sonycsl.co.jp/lab/frl/hideki-takayasu.html)という、制度検証学的な研究分野での新しい知見が、この「無裁定条件」を限りなく小さくすることができる(=限りなくただ飯に接近することができる)という金融工学の仮説を否定していたにもかかわらず・・・(参照 →http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060315)。


また、ハイマン・ミンスキー(Hyman Minsky/1919-1996/ハイエクを高祖としフリードマンを始祖とするシカゴ学派、つまり市場原理主義規制緩和万能主義を批判した経済学者)は、著書『金融不安定性の経済学』(多賀出版)の中で資金調達の三類型として「ヘッジ金融」、「投機的金融」、「ポンジー金融」を挙げており、前の二者はリスク対処のため必要だが「ポンジー金融」(ネズミ講詐欺で名高いポンジーの名に因む)は詐欺的であると警告しています(出典:2009.1.9付・日本経済新聞一橋大学名誉教授・今井賢一氏)。


そして、ミンスキーの警告どおり、いま我われ(=富める国も、最貧国も、富裕者も、極貧に喘ぐ者も)はCDS(Credit Default Swap)という名の「金融時限爆弾」が仕込まれた、同じ地球の上(参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20090104)(=グローバル市場原理主義が席巻する世界)で生きざるを得なくなっています。


つまり、債権等のステークホルダーに対する保険サービス提供に限れば、CDSは「ヘッジ金融」あるいは「投機的金融」と同様の役割を担う訳ですが、それが本来の目的から切り離され(事実上、細かく切り刻まれリスクを抱え込まされた金融派生商品と化して世界中にバラ蒔かれ)、そのうえ無責任な「格付機関の評価」に甘んじる始末となり、それは紛れもなく「ポンジーネズミ講)詐欺」に変質したのです。


この年末以降、我われは「イスラエルのガザ攻撃」と日本における「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)という<二つの悲惨な出来事>を目撃しています。表層的に見れば、この二つの事象(原理主義者のテロを撲滅するという名目でイスラエルがガザを攻撃し始めHAMASがそれに応戦する“戦争”と“日本における雇用弱者の切り捨て問題”)はまったく別次元のことに見えますが、実のところ、これら二つの根は同じと見なすことができます。なぜなら、紛れもなく、これら二つの原因は『テロならぬ貧困との闘いに失敗した資本主義』の深奥(資本主義のおぞましい恥部)から湧出していると考えられるからです。


武力闘争を先導するHAMASの軍事部門が、実は「和平実現への可能性をテロ行為で止める」という意味でイスラエル右派のパートナーのような存在と化している(イスラエルHAMASのペースに嵌っている?)という現実があること、あるいはパレスチナ問題の歴史が一筋縄では行かぬ複雑な問題を孕むことも歴然たる事実ながら、イスラム原理主義組織HAMASによる「住民らの貧困克服などへの支援活動が、多くのパレスチナ住民からの篤い支持を得てきた」という側面があることも確かなのです。


従って、現在の「ガザの悲劇」の根底には『貧困との闘いに失敗した資本主義』の問題が深く巣食っていると見るべきでしょう。無論のこと、イスラエル軍のガザ攻撃による、HAMASとは無関係な幼い子どもらを含む一般パレスチナ人を意図的に狙うかのような、目前で繰り広げられる残忍で野蛮で無差別な殺戮行為を一刻も早く「国際世論の高まり」で止めさせるべきであることは言うまでもありません。


一方、我が国で大手製造業を中心に噴出している「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)の背景には、愈々、本格的な少子高齢化社会へ向かう社会条件の中で、グローバリズムと地域社会・地域経済を調和させつつ本気で内需型経済構造を構築すべき緊急事態であったにもかかわらず、「小泉劇場」以降の「政界・学界・財界の濃厚な癒着構造」が、未来への冷静な展望を喪失したまま、保身と自己利益に引きずられるまま労働者を単なる消耗品あるいは使い捨ての部品扱いにして、まるでバカの一つ覚えの如く、ひたすら<中間層の没落>と<格差拡大>を煽ってきたという日本政治の余りにも惨めで情けない現実があります(参照 →http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20090104)。


言い換えるなら、そこには愚かにも<自らが拠って立つべき稀少な地盤の切り崩しの仕事>に精を出してきたという「資本主義が目指すべきリボーン型社会への方向性」についての根本的な錯誤問題が隠れています。従って、これについては、欧州の「積極的雇用対策」(フレキシキュリティ)に倣いつつ、国の役割としての「公共的職業訓練の重要性」を認識し、その意味についての理解を政・官・財・学・民の立場を超えて日本国民が広く共有することを前提とすべきであり、「労働者派遣法」を元に戻すだけの対策では済みません。


<注記>


リボーン型資本主義(Reborn)のイメージは、適正な労働分配下で、限られた数の労働者を次世代の経済成長の活力源に育てつつ内需型経済とグローバリズム経済を調和させる賢い資本主義社会。これに対し、小泉政権以降の日本政府が目指してきたリセット型資本主義(Reset)のイメージは、格差拡大を煽るトリクルダウン(新自由主義市場原理主義規制緩和万能主義)幻想の下で、市民・国民・労働者を使い捨てにする、まるでタコの自食行動のように愚かな資本主義社会。


そして、その実現のためにはオランダの「ワッセナー合意」(参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070723)をモデルとする全く新しい法整備が必要になります。が、この論点をこの場所で更に深める余裕はありません。


その代わり、ここでは国の内外に分けて「貧困が拡がるルート」を再確認することにします。


A:国内で貧困が拡がるルート


a 雇用環境の劣化・縮小(フローの劣化)
b 資産形成・継承の劣化(不動産・預貯金等ストックの劣化)
c 社会保障制度等の劣化(福祉・医療・教育環境の劣化)
d 経営者層の劣化・堕落(資本主義の劣化)


B:世界で貧困が拡がるルート


a 貿易環境の悪化(商品相場急落→“商品輸出国=低所得国”への打撃拡大)
b 低所得国からの出稼ぎ労働者の失職(本国送金の縮小)
c 低所得国への投資の縮小(新興市場への投資が激減=低所得国の所得が縮小)
d 先進諸国の実体経済悪化(“開発援助(ODA)の縮小”=“インフラ&雇用機会の劣化”→低所得国の所得が縮小


[金融工学が悪魔たる所以]


低所得の国々が、「輸出(貿易)」、「出稼ぎ労働」、「海外からの投資」そして「開発援助(ODA)」への依存度が高いことは周知のとおりです。従って、今回の「米発金融パニック」で、いったん世界経済のバランスが崩れてしまうと、その最も大きな被害を蒙るのが、それら低所得国(貧国、最貧国)であり、しかも、これら低所得国が自らの力だけで、そのマイナス分を補うことができなくなるのは当然のことです。しかも、これからCDS(Credit Default Swap)という名の「金融時限爆弾」が本格的に炸裂する可能性が高いことを考えれば、そして、その時の低所得国の国民一般に対する激甚な被害の大きさを想像するならば、この「金融時限爆弾」を仕込んだ金融工学が悪魔のように見えても不思議ではありません(少なくとも世界のGDP総額に匹敵する信用バブルがCDSによって地球上にバラ蒔かれたとの説もある/参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20090102)。


しかも、欧米諸国や日本などの先進国は、初めのうちは「米発金融パニック」への緊急対応のため、これら低所得国への気配りが十分ではなかったはずです。従って、今、もっとも「米発金融パニック」の悪影響を蒙り苦しんでいるのは、これら低所得国の一般国民です。その構図は、まさに日本国内における「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)の問題に相似しています。結局は、“最も弱い部分へ切り捨ての風圧が掛かり、強烈な北風が吹きつける”という意味では、世界の貧困問題と日本国内の「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)の問題は同じこと、つまり現在の「不誠実で不完全な資本主義の姿」の現れに他ならないのです。


ともかくも、このような観点から、これから本格化する日本および世界の実体経済の混乱を少し想像するだけでも、今、最も重視すべきは「アナウンス効果を狙い、ひたすら景気回復の先手を打つというパフォーマンスを見せつけること」だけではなく、同時に、国内外における「貧困拡大と格差拡大」を防ぐという基本的な視点をシッカリ確保し、関連する施策の中に「貧困拡大と格差拡大」を防ぐための具体策(セーフティ関連施策)を積極的、かつ速やかに取り込むことです。


また、このように見ると、麻生マンガ内閣が拘り続ける「2兆円の定額給付金」が如何にバカげた政策であるかが分かります。一般国民の7〜8割が反対する中で2兆円もの税金を無意味にばら撒くことは止めて、真っ先に「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)等への対策(生活補助・住居補助など)や「公的職業訓練」あるいは「福祉関係等の資格取得への支援、雇用機会提供の支援」などに使うべきです。それだけでなく、これには既述の「金融時限爆弾」の本格的炸裂に備える対策(=特に被害が大きくなると予想される弱者層への事前対策)の意味合いもあります。


(関連参考情報)


内閣支持19%危機的水準 共同通信世論調査・・・「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」の質問への回答では、定額給付金は3・3%。「年金・医療など社会保障」が42%で最も多かった、http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011101000206.html


支持率20.4%、内閣不支持7割超、給付金へ反対78%(読売調査)、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090111-00000041-yom-pol


内閣支持19%、給付金に反対63%・・・朝日調査、http://www.asahi.com/politics/update/0111/TKY200901110149.html


麻生内閣支持率18・2%、危険水域に 産経・FNN合同世論調査http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/211717/


おそらく、麻生首相と、その他の政府与党のお偉方たちは、このような意味での「最下層(最貧)の国々や最下層(最貧)の人々の存在」をリアルに見ていないのかも知れません(あるいは知らぬ振りかオトボケ? → その意味で、この意識は「タケナカB層戦略」の餌食と想定されるB層の国民と同じレベル?)。つまり、彼らは率先して<悪魔の如き金融工学>の思う壺に嵌っている訳です。なぜなら、あくまでも「高度な(あるいはポンジー化レベルまで進化した?)金融技術としての金融工学」が目指すのは、エンドレスの「最貧困と格差拡大」をバネとしつつ、現在と未来の時間差の中で限りなく「裁定(鞘取り)のチャンス」を拡大し続けることに他ならないからです。


そして、市場経済における「無裁定条件」の復権を虎視眈々と狙う「金融工学」シンパの人々にとっては「戦争」さえも裁定(鞘取り)の道具に見えるのは、ある意味で当然のことなのです。しかも、それは「技術」または「道具」(喩えるならば、非常に切れ味が良い包丁のような存在)としての「金融工学そのもの」の責任とは言い切れないのです。従って、そのように切れ味は抜群ながらも、使い方しだいでは悪魔の本性を現す可能性が大きい「金融工学」を制御しつつバランスを取ることが「為政者らの重要な仕事」ということになるはずです。つまり、「平和の実現」と「貧困の撲滅」とを大目標とし、これら二つの方向へ積極的に取り組むのが本来の政治の役割であるということになります。


余談ながら、このような観点からすると、下記◆のような「非正規雇用の切り捨て」(派遣切り)についての見解は、まさに「タケナカB層戦略」(=竹中平蔵式リアリズム戦略=“バカは何人寄ってもバカ”戦略/参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20090106)にスッポリ絡め取られたか、あるいは超古典的資本主義の理解レベルで思考停止した、いわば低民度の人々に特徴的に見られる考え方であることが分かります。


B層発言>のモデルケース? (or 「タケナカB層戦略」のヤラセ与三郎?) → ◆派遣(や期間工)などになる人の多くは能力が低い、能力が低い人間は切られる、それは資本主義では当然のことです・・・、http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1321406033



[参考]「イスラエルによるガザ攻撃」関連情報・・・一般メディアで手に入らない情報を収集・転載してみました]


ル・モンド記事翻訳:ガザからの声(2009-01-07)、ブログ:ね式(世界の読み方)、http://neshiki.typepad.jp/nekoyanagi/より転載


6日のル・モンドから、ガザから途絶えることが多い電話で伝えられた現地状況です。ガザ地区には、“安全”を理由とするイスラエルの要請で外国ジャーナリストは入っていません。


「私たちはこの攻撃を対共同体刑罰のように受けている」2009 年1月6日
"Nous vivons cette agression comme une punition collective"


大学教員、主婦、医師そしてジャーナリスト。11日前にイスラエル攻撃始まってから、この4人のガザ住民は文字通り外界から隔離されている。電話回 線が機能するのはまれで、イスラエル軍は領域全体に越えることのできないチェック・ポイントを設置した。人質になったと感じている中産階級出身の4人が、 この出口なしの戦争を語る。


アル・アクサ大学で講義を持つハイデール・エイデール/Haider Eider は、イスラエル空軍機からの激しい空爆を受けるガザ市の内閣ビルから数百メートルのところに住んでいる。「内閣合同庁舎への攻撃が始まったとき、私は眠っ ていたんだ。アパート全体が振動した。ガラス窓が私の周りに飛び散った。部屋中ガラスだらけだった。寝ていたのが幸いでした。それ以来眠っていません。話 している今でも、ヘリコプターやF-16それからドローンが窓越しに見えている。5分ごとに、大砲・ロケット弾・空爆攻撃がある。」 声の背後で爆発音が 聞こえる。「聞こえますか?砲弾だ。」


無宗教と自分を規定するこの大学教員は、2006年にハマスには投票しなかった。自らの信念にもかかわらず、選挙の勝利者(訳注;ハマス)を 現状況の責任者とは考えることができない。「これはイスラエルハマスの戦争ではなく、パレスティナ人民全体の存在自体が焦点となっている。私たちはこの 攻撃を、共同体全体に対する刑罰として生きている:ハマスに権力を与えたために、私たちは攻撃を受ける。これは戦争犯罪であり、民主主義に対する犯罪 だ。」 彼によれば、イスラエルの攻撃は、ハマスの弱体化からは遠く、『侵略者』に対して総人口の連帯を強めるだけだ。 「けれど、問題はハマスに限定し えない:戦っている人々はすべての流れから来ている。国家解放運動だ。これは2年まえにレバノンで起こったことを連想させる。イスラエルはヒスボラの基盤 構造を破壊しようとしたが、あの戦争後、ヒスボラはかつてないほどの支持を得ている。。。」


ニルメーン・クハルメ/ Nirmeen Kharme はガザ市内に住む主婦である。彼女は引き続く戒厳令下に3人の子供たちを育てる疲労を語る。「11日の間、私たちは家に閉じこもっています。義理の姉妹と その娘と同居しています。子供たちは4階に住んでいるのだけれど、爆撃のせいで怯えています。食料の貯蔵はあります。こういった状況には慣れているので す。子供たちはストレスのせいで一日中食べ続けています。ガザは子供を育てるための場所ではないのです。。。」


この母親は、ハマスが現状況の責任者だと言う。「私はハマス支持者だったことはないし、これからも絶対に支持しません。現在、街中で戦っているのは 新しい世代です。ほかのメンバーはどこにいるのか?誰も知りません。彼らの犠牲になるべきなのは私たちではありません。この戦争後ハマスがより力を得ない とは誰も言えない。私はそれを望んでいません。私は、単に人間として生きて行きたいと切望しています。。」


ハディ・アブ・クフシャ/Hadi Abu Khusa は、ガザ地区全体の移動クリクックを管理するNGOメディカル・レリーフ・コミティの責任者だ。爆破音の聞こえる中、地域がいかに『人道的カタストロフ』 に近似しているかを説明する。イスラエルがガザに住む無実の人々を助けないとしたら、彼らは死んでいく。電力がないから、私たちにはもう必要とされる水も ないのです。想像できますか?水は、酸素のようなものだ。スーパーマーケットには、もう果物もないし、パンもないし、なにもありません。ジャガイモと卵を 食べています。


彼によれば、病院に入院する患者の95パーセントは一般市民である。彼の医療チームには、すべての被害者にあてる十分な薬品がない。アブ・クフシャ は、このまま打ち負かされることを望まない。「私たちは働き続けます。」と彼は言う。−けれど、その言葉からはむなしさが感じとれる。「私たち医療チーム が介入することはますます難しくなっています。イスラエル軍ガザ地区をみっつに分断しました。誰もゾーンから別ゾーンに移動できません。死体置き場に は、誰も確認にこない無名の死骸が重なっています。。。」


フィダ・キシュタ/Fida Qishta はラファに住んでいる。この女性フリージャーナリストは、張りのない声で、なぜイスラエルが市民を責めたてるのか分からないと話す。「F-16が昼も夜も 空を行きかっています。彼らは、パレスチナ人の国家建設を助けるだろうすべてを破壊しています:学校・各省・道路、そして家々まで。北のほうでは、彼らは 人々に住居から避難するよう勧告し、それから人々を爆撃するのです!昨日、家の前で遊んでいた近所の子供たちが殺されました。。。今日は、ガザの自分たち の家の中で7人の子供が家族もろとも殺されたと聞きました。。。想像できますか?世界は、ここで実際に起きていることを理解するべきなのです。。。」


ソレン・シーロウ/ Soren Seelo @import url(http://medias.lemonde.fr/mmpub/css/blog.css); "Nous vivons cette agression comme une punition collective"
LEMONDE.FR | 06.01.09 


・・・ と、翻訳は終わったのですが、アラブ語はできないので、各名前の発音はかなりやっつけであります。


■〔ガザ侵攻 NEWS〕 イスラエル発 反戦の声 エイミー・グッドマン 伝える、http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2009/01/post-f978.htmlより転載


ニューヨークの「消防署スタジオ」から全世界へ発信を続ける、「デモクラシーNOW」の女性キャスター、エイミー・グッドマン氏が、ネット誌の「トルース・ディグ」で、イスラエル発の「反戦の声」を報じた。


一般のマスコミでブラックアウトされて来たイスラエル国内の反戦の動きの一端が、彼女の取材で、その姿を現した。


グッドマン氏によれば、先週末、テルアビブで1万人規模の平和デモが行われた。


デモにはイスラエルのベテラン平和運動家、ウリ・アヴネリさんも参加、イスラエル軍のガザ侵攻を「犯罪戦争」と非難した。


アヴェナリーさんは今回の軍事行動を、二月に行われる選挙の票稼ぎのためのものだと指摘、国防軍の兵士を使うな、と厳しく批判した。


イスラエルの有力紙、「ハーレツ」のギデオン・レヴィ記者もグッドマン氏に対して、「(イスラエル軍空爆で)今日、5人姉妹が(死亡し)葬られた。聞いたこともないことだ。こんなこと、続けられるわけがない」と語った。


右派リクードのネタニヤフ党首はガザ侵攻を支持するタカ派のトップだが、甥のジョナサン・ベン・アルツィさんは1年半、刑務所暮らしを強いられた良心的兵役拒否者で、現在、米国のブラウン大学に留学中。


ジョナサンさんはグッドマン氏に、「イスラエル政府に、はっきり、やめろと言うべきだ」と、米国の介入を求めた。


イスラエルでは、平和団体の「グシュ・シャローム」がハーレツ紙に反戦意見広告を掲載。ハイファの裁判所が、政府が拘束した反戦活動家を釈放する命令を出すなど、ガザ侵攻に対するプロテストの動きが出ている。


⇒  http://www.truthdig.com/report/item/20090106_israeli_voices_for_peace/


■〔ガザ侵攻 NEWS〕 イスラエル ガザ沖天然ガス権益の確保が狙い 資源戦争の様相、http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2009/01/post-39a0.htmlより転載


グローバル・リサーチのミッチェル・チョスドフスキー教授(オタワ大学)が、イスラエルのガザ侵攻は沖合に眠る天然ガス資源の確保が狙いとの見方を示している。


教授によれば、ガザ沖の海底天然ガス資源(埋蔵量=1兆4000億立方フィート)は2000年に発見された。法的にはパレスチナ自治政府の権益だ が、アラファトの死、ファタ派の凋落などで、イスラエルが「事実上」、支配下においており、採掘権の60%を持つ「英国ガス」はハマスを素通りし、テルア ビブ(イスラエル政府)と交渉を進めているという。


イスラエル政府は2007年時点で、パレスチナ自治政府を通じ、ガザ沖天然ガスを購入する方針を承認したが、その後、「英国ガス」との間で結んだ 合意で、天然ガスのパイプラインをイスラエル領のアシュケロンまで繋ぐことを決めるなど、自らの権益とする動きを強めて来た、という。


中東問題の地政学分析を得意とするチョスドフスキー教授の指摘だけに、説得力ある見方だが、それが実際にそうだとしたら、イスラエルとしては「ガザ併合」まで進まざるを得ない。


が、「ガザの領土化」をイスラエルが単独で推し進めることは、国際世論もあり、難しいところ。


となると、イスラエルとしては軍事占領を続ける一方、「平和維持部隊」を呼び込んで駐留させることで、ガザを「準国土化」し、オフショアの天然ガス権益を確保する――といった線を考えている……と見るのが妥当なところか?!


教授の言うとおり、「ガザ戦争」は、イラクの石油の確保に動いたアメリカにならったイスラエルの「資源戦争」……かも知れない。

 
イスラエルが今回の侵攻作戦につけた作戦名、「キャスト・リード(Cast Lead)作戦」とは、「水深を測る」である。

⇒  http://globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=11680


イスラエル国内、強まる懸念/ガザ地上戦 「果てしない苦痛の始まり」(読売 1月7日 朝刊)へのコメント、http://www.kamiura.com/new.htmlより転載


ガザでの市街戦はハマスが待ち望んだ戦闘環境だ。今までのハマスのロケット弾攻撃はガザの封鎖を続けるイスラエルを挑発し、ガザへの軍事進攻を誘い、市街戦でイスラエル軍に手痛い打撃を与えるためだった。


ハマスの軍事部門の人数(兵員数)は約1万8000人と推測されている。今までの空爆などでハマス戦闘員の死傷者を2000人と見積もっても10パーセン ト程度の損耗でしかない。ハマスで軍事訓練を受け、組織的に戦える戦闘員がまだ1万6000人もいるということである。


さらにハマスが市街戦で戦える有利さとは、地形や建物の配置を知り尽くした場所で戦え、家族や友人を守るために戦えるという士気の高さが維持できること だ。逆にイスラエル軍は非正規戦(非対称)という最も悪い戦闘環境での戦いとなる。またガザという高人口密集地での市街戦では一般市民への被害(誤認・誤 射)は避けられない。これが国内・国際世論で不利になることは間違いない。


今回のガザ戦闘でハマスが勢力を拡大することは必至である。戦闘が長引けば長引くほどイスラエル側に焦りが強くなる。これがアメリカやイスラエルが最も恐 れる06年のイスラエル軍レバノン南部侵攻作戦の失敗と同じになることだ。06年のレバノン南部侵攻では、ヒズボラに打撃を与えられぬまま撤退し、逆にヒ ズボラの支配を強める結果になっている。


■The Israeli attacks on Gaza、Palestinian dead760、injured3.100(2009.1.9)/毎日、リアルな被害データと戦闘地域が掲載されるGuadianのネット記事、http://www.guardian.co.uk/world/interactive/2009/jan/03/israelandthepalestinians


■HAARETZ.com/イスラエル側からのガザ情報、http://www.haaretz.com/hasen/spages/1051226.html


■Gaza Latest News and News Video Real-Time Updates(Vinny's Website Blog)、http://vinnyswebsite.com/blog1/


■Gaza real-time and some minutes after Israeli terror attack 3 videos、http://www.archive.org/details/GazaReal-timeAndSomeMinutesAfterIsraeliTerrorAttack3Videos


■GAZA: STOP THE BLOODSHED、http://www.avaaz.org/en/gaza_time_for_peace/?cl=161793181&v=2606


■Gaza blogger: Nazek、http://www.nazek-aburahma.net/


■Gaza blogger:Scotish Medical Volunteer、http://ingaza.wordpress.com/


■Gaza blogger:Oxfam、http://www.oxfamamerica.org/


■Gaza blogger:Human Rights Workers、http://gazaeng.blogspot.com/


■ガザより・・・緊急メール/アブデルワーヘド教授・発(薔薇、または陽だまりの猫)、http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/40dce0567d85c3c649821753b4676c57