toxandoria:旧「toxandoriaの日記」

W,Ⅴ.O.クワインによれば、地理や歴史から物理学や数学、論理学までに至る知識や信念の総体は周縁部(フリンジ)でのみ経験と接する人工の構築物ないしは「境界条件が経験であるような力(持続的ダイナミズム)の場」とされ、この描像の下で理論(又はイデオローグ)と合致しない観察結果が得られたとき生ずるのは何らかの特定の仮説の撤回ではなく、信念体系内部の各命題に割り当てられていた真理値の再配分であり、そこには多くの選択の余地(つまり無限の可能性が絶えず拓ける状態)がある。中山康雄著『科学哲学』(人文書院)

電力自由化の流れを無視する高級官僚の横暴と政治・メディアの無責任で<脱原発のドイツ>になりそこねた日本の深層、付「みどりの未来」【声明】脱原発&【見解】対増税路線オルタナティブ

toxandoria2012-02-23



<注記>当内容は、下の記事とも関連しますので、どうぞ<コチラ↓>もご覧ください。


2012-02-22 toxandoriaの日記/[情報の評価]いまさら言うノダ、か!?「ひょっとしたら原発誘致は間違えてたかもhttp://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20120222


◆いまさら言うノダ、か!?「ひょっとしたら原発誘致は間違えてたかもしれない」(福井・美浜元商工会長苦悩)、付<仏Ecolo派、Eva Joly大統領候補のマニフェスト>、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20120222/p1


原子力委員会が<一次評価だけで原発再稼働を謀る篭ぬけ詐欺劇場>と化したポスト・フクシマの日本、堪え切れぬほど非人間的なその国策原発一極経済の罪の重さ、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20120222/p2


◆仮想の空論/日本財政&原発が実効的に共有する国家社会主義的国策の実像、その悪魔的トリックについての一考察、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20120222/p3


(プロローグ)


A = Any intelligent fool can make things bigger, more complex, and more violent. It takes a touch of genius -- and a lot of courage -- to move in the opposite direction.( Einstein's words)


B = Alternative to the A.:Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited.Imagination encircles the world.( Einstein's words indicate the nature(mass of sophistry and lies) of the Japan Atom-Village)



Lara Fabian - Il ne manquait que toi(Only I missed You)


(本 論)


新自由主義改革(というよりも、本来あるべき自由主義再生へ)の流れは、詳細は省くがその全てが悪徳という訳ではない(<注>当論点の詳細は下記◆を参照乞う)。むしろあの小泉構造改革が悪徳かつ悪辣であったのは「財務省を頂点とする政官司財労学による交尾野合型の実効支配構造=実質的に高級官僚が支配する伝統日本型国家社会主義体制」を保全するため、本来必要である自由化分野へ巧みにブレーキをかけたことだ。


◆2009-12-19・toxandoriaの日記/北欧型福祉社会と米国型市場原理の共通起源、「制度経済学派&リアリズム法学」についての試論(日本は何処へ向かうべきか?)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20091219


●そして、その典型が2001年以降に本格化するかに見えつつも、結局は小泉純一郎(内閣)がその完全自由化への動きを計略的に止めてしまったと見なすべきわが国における非常に特異な「電力自由化の問題」である。このため、実は、一旦は自由化に備えるため<本格リストラ等の対策>へと身構えたかに見えた電力会社がホッと安堵してしまったという経緯があるようだ。


●そして、この<電力自由化への圧力>と<既存の電力会社による既得権益保守と原発推進路線>を巧み(政治的or偽装的?)に上手く調和させる役割を担ってきたのが、2001年1月(小泉内閣が発足する直前の第二次森内閣のとき)に発足した原子力安全・保安院である。ともかくも、<電力会社がホッと安堵した>とされる、我が国の<中途半端な電力自由化>に関わる法整備の流れは下のとおりである(出典・電事連電力自由化の経緯』、
http://www.fepc.or.jp/present/jiyuuka/keii/index.html)。


1995年(平成7年)電気事業法改正(1995年12月施行)
1999年(平成11年)電気事業法改正(2000年3月施行)
2003年(平成15年)電気事業法改正(2004年一部施行、2005年4月施行)


●もっとも、この流れには非常に重要な前史がある。それは、日本の真の実効権力たる「官産メディア(官産報)複合体」(財務省を頂点とする政官司財労学による交尾野合型の実効支配構造へ、その広報機関化した主要メディアを加えた概念)から威圧された第二次海部内閣が、1990年代以降に世界的な流れとなった規制緩和の進展の中で、超危険とされた<核燃料サイクル計画と裏腹の関係にあるプルサーマル実施計画>を織込む「原子力委員会核燃料リサイクル専門部会報告(下記★)」を1991年8月2日にアッサリ認めてしまったことだ。


★核燃料リサイクル専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」1991年8月2日/原子力委員会核燃料リサイクル専門部会、← 渦中の大飯原発等の再稼働問題と同じく結果ありきの<財務省を頂点とする政官司財労学による交尾野合型の実効支配構造>の典型である<原子村御製/屁理屈?>のレポート。言い換えれば、これによって国策エネルギー・セキュリティ(実は原子村自身のセキュリティ?)を国民の生命のセキュリティに優先させることが決まったという意味で、非常に重要なヤラセ・レポートだったとさえ言える
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/wp1991/ss1010204.htm


●ところで、実はこの「電力自由化の問題」が特に強く意識され始めたとき、つまり小渕政権〜森政権〜小泉政権時代にほぼ重なる1990年代の後半以降において、電力会社等の関連でリストラ対象となると予想された事業対象には次のような分野があったとされる(出典:吉岡斉著『新版・原子力の社会史』)。


(1) 商業発電用原子炉の新増設の中止または凍結
・・・原子炉の新増設の経営リスクは極めて高く、既存原子炉のリプレース時に、原子力発電から火力発電への転換を行う方が合理的だと電力会社自身が判断していた(この問題意識は、経済学者の立場から原子力発電の非効率を厳しく指摘・批判する下記▲の著書内容に匹敵する)。また、地元対策に高額マネーと膨大な手数がかかる原発新設は止めた方がリーズナブルだと、同じく判断していた。


▲円居総一(日本大学国際関係学部教授)著『原発に頼らなくても日本は成長できる/エネルギー大転換の経済学』(ダイヤモンド社)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20111106/p1


(2) 核燃料再処理工場の建設中止または凍結
・・・核燃料サイクルのバックエンドを整備することは絶対に避けられない課題であるが、再処理路線を放棄すれば、電力業界は再処理工場の莫大な建設費・運転費を支払わずにすむのでバックエンドを大きく減額でき、巨額の追加コストの発生リスクを免れることが可能だと、電力会社自身が判断していた。


(3) 国策の大義で進めてきた諸事業の中止または凍結
・・・新型転換炉、ウラン濃縮、高速増殖炉などの開発プロジェクトは元々、科学技術庁系統の開発プロジェクトへの国策協力として進めてきたものであり、本音を漏らせば電力業界にとって、これに関する費用は交際費みたいなものだから、財務上の余裕がなくなれば切り詰めるべき性質のコストだと、電力会社自身が判断していた。


●これはまことに驚くべきことなのだが、もし電力業界がもう少し本気でこれらのリストラ策を実行に移していれば、また日本の政官学財界などがもう少し真剣にこの問題へ取り組んでさえいれば、我が国の原子力発電事業はその中核となる事業が悉く根本から見直されることとなり、同関連事業の全てが既設原発のメンテナンスと廃炉へ向けての実施計画ということになっていた可能性が高い。無論、それは核燃料のリサイクルが中止され、直接処分を前提とする核廃棄物最終処分への取り組みが逸早くこの日本で始まっていた可能性があったということだ。


●それは、他ならずフクシマ3.11直後に脱原発を決断したドイツよりも、かなり早い段階で(おそらく5〜10年ほども早く)日本が事実上の脱原発の方向へ踏み切っていた可能性があったということになる。無論、それでも今回の大地震を起因とするフクシマ3.11過酷事故を避けることはできなかっただろうが、少なくとも、ポスト・フクシマ3.11にもかかわらず<財務省を頂点とする政官司財労学による交尾野合型の実効支配構造>の典型である<原子村>が相変わらず原発推進のゴリ推しを続ける今のように余りにも異常な日本の姿(参照、下記▼)は回避できたはずである。


▼2012-02-22toxandoriaの日記/原子力委員会が<一次評価だけで原発再稼働を謀る篭ぬけ詐欺劇場>と化したポスト・フクシマの日本、堪え切れぬほど非人間的なその国策原発一極経済の罪の重さ、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20120222/p2


<注記>原発再稼働のための一次評価とは核燃料を溶融させぬようにするための安全対策についての評価である。対して、二次評価は核燃料が溶融した深刻な事故が起きた場合に備えた安全対策についての評価である。従って、当然、二次評価は机上の想定に過ぎぬストレステストだけで済むはずがなく、フクシマ3.11過酷原発事故の現場についての十分な検証が前提となる。


●だから、1990年代の後半以降の時代(それは、たかだか今を遡ること10数年前〜現在に続く時代)において、いったん電力業界が本気で検討した原子力発電にかかわる、これらのリストラ策の検討を押し戻してしまった直接的な契機が何処にあったかについては、<フクシマ3.11原発過酷事故の二次評価の問題>と同様に、時間をかけてでも具体的に徹底検証すべき最重要課題である。


●同時に、この問題を傍観するどころか、むしろ原発関連リストラ策の検討(より早い段階での脱原発の可能性についての電力業界内部からの自主的な芽生え)を逆に押し戻す方向へ向かって世論を煽ってきた主要マスメディアの責任は、矢張り、余りにも大きいと言わざるを得ない。なお、志村嘉一郎著『東電帝国』(著者は元朝日の記者(東電・電事連記者クラブ担当))によれば、電事連が籠絡ターゲットとして最初に狙ったのは朝日、次いで最大手の読売(初めから原子村広報紙だったから?)、最後が毎日(販売部数が小さいからどうでもよかった?)だったようだ(全てが広告費の餌に取り込まれた)。


●ともかくも、これは、マスメディアの暴走を許したのが電事連の巨額の宣伝・広告費であり、しかも、その費用の全ては総括原価方式による費用勘定(原価の一部)として我々が支払う電気料金へオンされていたということを意味している(電事連は、プロパガンダ用の広報・宣伝費と政界工作費の総計でmin3千億円(全電力会社が売上×2%を拠出するルールに従う)を現在まで蕩尽してきた/参照⇒http://t.co/g8tSOO5P)。


●これでは善良な日本国民が、自らを絶滅させる<超リスキーな原発事故の可能性>を買うために、せっせと真面目に身銭を支払ってきたことに等しいではないか?しかも、ポスト・フクシマ3.11の今に至っても、科学的・客観的な立場での裁定者であるべき原子力委員会斑目委員長が<一次評価だけで原発再稼働を謀る篭ぬけ詐欺劇場>の主役の演技を真面目に演じている・・・、そして実質的に無力な野田内閣総理大臣は傍目でそれを傍観しつつ「原発一極経済型増税政策」をバカ丸出しで絶叫し続けるだけという、この日本という国は一体何なのだ!と言いたくなる。



みどりの未来」【声明】脱原発&【見解】対増税路線オルタナティブ


【声明】「3・11」から1 年――脱原発は脱「おまかせ民主主義」から/再稼働を止め全停止後、一日も早く全廃炉脱原発を実現します 2012.2.21 みどりの未来運営委員会


・・・みどりの未来MLより転載・・・


1. はじめに


「3・11」の東電福島第一原発事故から1 年がたとうとしています。みどりの未来は、原発のない社会に向け、渾身の努力を傾けることを改めて表明します。


脱原発への支持が7 割を超える世論をあざ笑うかのように、「永田町」と「霞ヶ関」では事故への反省もなく、非人道的というべき所業が横行しています。福島第一原発の「冷温停止状態による収束宣言」なる詐欺的な演出。放射線管理区域の4 倍にあたる年20 ミリシーベルトを、子どもたちを含む避難基準とする被曝の強要。事故収束さえ出来ない中で大多数の賛成で批准された原発輸出のための原子力協定。重要な政府会議の議事録さえ残さよりない恐るべき隠ぺい行政。そして、原発再稼働への姑息な動き。まさしく暴挙と言わざるを得ません。


そして対極で、福島事故による放射能被害はより拡大し、深刻さを増しています。住民の健康被害のケアや、避難基準の抜本的見直し(年1 ミリシーベルトへ)、早期の完全な賠償を含む「避難の権利」の確立は急務です。また、「関連死」と呼ばれる過酷な避難による死亡者を出さない避難政策の充実も不可欠です。内部被ばくにどう向き合うのかも問われています。


事故を引き起こした「原子力ムラ」が温存され、政治と行政を未だに牛耳っています。いのちより利権を優先するこうした仕組みを抜本的に転換させなければいけません。


2. 危険な再稼働を止めるために全力を尽くします


現在、政府は経産省保安院の主導のもとに、原発の再稼働に向けた動きを加速させています。おざなりの安全対策と利益相反委員が牛耳るストレステスト意見聴取会や原発推進機関に過ぎないIAEAのお墨付きを演出して、4 月にも大飯原発3、4 号機の再稼働が狙われています。従来の耐震・安全指針は無効となり、福島事故の実態も未解明、原発の安全を保証するものが何もない以上、再稼働はあり得ません。


再稼働ストップに向け、①ストレステスト意見聴取会の厳しい監視と、利益相反委員の解
任 ②原子力安全委員会がチェック権限を持たないことの暴露と、利益相反の班目委員長らの解任 ③国会事故調の報告書が反映されるまでは再稼働などあり得ないことの国会議員による明確化 ④「地元了解」の範囲を、福島事故を経て少なくとも原発から80 キロ圏内まで拡大し、自治体と住民の了解を義務付けることを主張します。


みどりの未来は、昨年の「6・11 脱原発アクション」や、経産省を囲む「人間の鎖」アクションなどに積極的に参加、その後も、ストレステスト意見聴取会の傍聴要求行動にも取り組むなど、再稼働阻止にむけ市民やNGOと共に行動を展開してきました。危険な再稼働をストップし、4 月末には全原発停止を実現させるために全力を注ぎます。


20 万人以上の市民のデモ、国会や再稼働予定地を取り囲む人間の鎖など、私たちがつながり、創意に満ちた行動を示すことが必要です。4 月末の全停止後、夏に策定される政府の「エネルギー基本計画」に原発即時廃止を明確に盛り込むことを求めます。原発の運転を「原則40 年」「例外60 年」などとし、原発が今後20 年も30 年も稼動し続けることは絶対にあってはなりません。老朽・被災・危険な原発(マーク1 型など)については即刻廃炉手続きに入り、核燃料サイクル計画(六ヶ所村再処理施設や「もんじゅ」など)やプルサーマル計画は廃止を決定させましょう。


3. 全停止後に1 年間の熟議を行い、「国民投票」を経て、原発ゼロに向かいます


ドイツでは福島事故を受けてメルケル首相が「倫理委員会」を設置し、テレビ公開された議論を経て、脱原発の方針が確定しました。イタリアでは国民投票による圧倒的多数の支持によって脱原発が決定しました。しかし、事故を起こした当事国の日本では、脱原発という多数の民意は事実上無視されています。私たちは、利権を共有する一握りの人々からなる「原子力ムラ」から、いのちと暮らしを守る決定権を取り戻さなければいけません。


政府が今夏に原発即時廃止の政治決断をできない場合は、全原発を停止したまま、政府および国会は決定権を市民にゆだねるべきです。大阪市、東京都などエネルギーの大量消費地原発住民投票に向けた直接請求が行われ、今後、静岡、新潟など原発立地県でも行われます。住民投票に向けた動きを、「国民投票」に結実させていくことが重要です。


国会に「脱原発に向けた熟議委員会」(仮)を設置し、脱原発派が少なくとも半数を占める多様な分野の有識者や、原発立地住民、NGOなどを委員に登用させます。1 年間をかけて、公開の委員会や地方公聴会、国際会議、市民参加のラウンドテーブルなど様々なレベルでの徹底した議論を保証します。そのうえで、「熟議委員会」は脱原発のプログラムと「国民投票」にかける選択肢を決定します。その際の選択肢は、「即時廃止か否か」というような形が望ましいでしょう。もちろん、みどりの未来(「緑の党」)は原発即時廃止を主張します。公正かつ透明で自由な熟議を踏まえて、開かれた「国民投票」によって、原発の根っこを立ち切り、脱原発再生可能エネルギーへの転換を決定的にすべきです。


4.「緑の党」の登場を!グローバルな脱原発の実現へ


最後に私たちは、こうした日本における脱原発の達成において、「緑の党」の結成と国政への登場こそが重要な役割を果たすだろうことを強調したいと思います。「原子力ムラ」にからめとられた既成政党への不信は極限に達しつつあります。「緑の党」は、選択肢を奪われつつある多くの人々に、あきらめではなく希望を提示することが出来るでしょう。「おまかせ民主主義」から脱却して、市民こそが参加するまったく新しい政党が日本社会に必要です。


私たちは「緑の党」を登場させることを通して、アジア太平洋グリーンズ、そしてグローバルグリーンズの仲間たちと連帯して、日本のみならずグローバルな脱原発の実現に向けても歩みを進めていきたいと思います。< 事務局 > 〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-3-4 高円寺ビル404
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【見解】野田政権の消費増税案に反対する 増税はまず不公平な税制の抜本的改革から 2012.2.21みどりの未来運営委員会


・・・みどりの未来MLより転載・・・


野田政権は、消費税を2014 年4 月に8%に、15 年10 月に10%に引き上げることをめざした「税と社会保障の一体改革」の「大綱」を決定し、通常国会に法案を提出しようとしています。


この大綱は、社会保障給付費の増大を支える財源の確保を、もっぱら消費増税に求めています。富裕層への課税強化を申し訳程度に付け加えていますが、不公正きわまる税制の抜本的な改革という課題を棚上げしています。


私たちは、まず消費増税ありきという野田政権の「税と社会保障の一体改革」に反対し、公正な増税による社会保障の拡充をめざします。


(1)この大綱は、低所得者への年金加算、パート労働者の厚生年金と企業健康保険への加入拡大など社会保障の機能強化(給付拡充)を前面に掲げています。しかし、それには消費税率5%引き上げのうちの1%(約2.7 兆円)だけしか充てられていません。まったく限定的なものでしかなく、年金制度の抜本的な改革が提示されていないことが示すように、社会保障の改革にはほど遠いものです。社会保障の拡充とはいっても、消費増税を人びとに受け入れさせるための看板にすぎません。


(2)高齢化の進展と貧困の広がり、そして3.11 大震災と原発事故は、人びとの生存権を保障するために社会保障の思い切った拡充を必要としています。100 兆円を突破した社会保障給付費は、2025年度には151 兆円にまで増えると試算されています。同時に、日本の財政赤字は急激に膨らみ、国と地方を合わせた長期債務残高は862 兆円(2010 年度末)、対GDP比181%にまで増えました。これ以上借金(国債発行)に頼り、将来世代にツケをまわす財政運営をすることは許されません。私たちは、財政赤字を増やさずに社会保障を拡充し持続可能なものにするという課題に直面しています。その際、財政再建を優先して社会保障を大幅にカットするという選択肢もあります。しかし、それは社会的弱者の生存権を脅かし、自己負担の増大によって低所得者が医療や介護のサービスを受けられなくします。私たちは、社会保障給付費の増大に見合う財源を新しく確保する道を選ぶべきだと考えます。そのために、緊急に取り組むべき課題は、ムダな歳出を思い切ってなくすことです。八ツ場ダムや整備新幹線など不要な公共事業の中止、天下りの根絶、公務員給与体系の是正、5兆円の軍事費の大幅な削減、特別会計の透明化を実行する必要があります。


(3)しかし、歳出のムダをなくすことだけで、増え続ける社会保障の財源を確保することは困難です。また、経済を成長させれば税収が自然に増えるから増税は不必要だという考えもありますが、経済が成長する時代は終わっているのです。増税は避けては通れません。しかし、増税といえば消費増税しかないという発想に縛られてはなりません。日本の税制の最大の問題は、不公正な税制が作られ、それによって十分な税収が確保できていないことにあります。先進国のなかでも税負担率は低く、税による所得再分配効果は最も弱くなっています。まず、富裕層への課税が弱められてきました。所得税最高税率がどんどん引き下げられ、累進性が緩和されました。株式の売却益など金融所得への課税は、勤労所得から分離されていて、一律20%の税率が2003 年からわずか10%に引き下げられてきました。さらに、資産への課税も、相続税基礎控除が大きく最高税率も50%であり、相続人の4%しか納税していません。また、グローバル企業への課税も穴だらけです。日本の法人税率は40%で高いと言われてきましたが、多くの租税特別措置や欠損金の繰越控除制度によって課税ベースがいちじるしく狭くされているために、実質的な負担は巨大企業ほど軽くなっています。また、企業間の株式の相互持ち合いから受け取る配当金には課税されず、この「法人間配当無税」によって巨大企業の分だけでも1.4 兆円の税収が失われています。


(4)この結果、所得税法人税の税収は、この20 年間にほぼ半減しました。しかし、大綱は、不公正な税制を抜本的に改め、税収を増やす提案とはなっていません。富裕層の負担を増やすと言いながら、所得税最高税率は5%引き上げて45%、それも課税所得5000 万円超に適用するという小手先だけの措置です。相続税基礎控除を4 割引き下げ、最高税率を55%(6 億円超)に引き上げて、納税者を6%に増やすとしています。しかし、この程度の改革では、たとえば相続財産10 億円の法定相続人の納税額は1 億7810 万円にとどまり、現行より1160 万円増えるだけなのです。法人税率は5%引き下げられましたが、租税特別措置の廃止は中途半端です。大綱では法人税率のさらなる引き下げを進めるとしています。巨大企業の内部留保は、平均賃金が下がり続けてきたのと対照的に、この10 年間で90 兆円も急増しました。法人税率の引き下げは、雇用の拡大をともなう投資の増大につながるよりも内部留保のいっそうの増大をもたらすだけです。


(5)大綱は、増税をもっぱら消費税率の引き上げに求めようとしています。消費税は、誰にでも課税でき、景気にかかわりなく安定した税収が得られ、1%の税率引き上げで約2.7 兆円の増収が得られます。しかし、消費税は、低所得者ほど負担がより重くなる逆進性という重大な欠陥を抱えています。大綱は、逆進性の緩和措置として給付付き税額控除を導入するとしていますが、そのために必要な財源を提示していません。また、暫定的に1 人当たり年1 万円の給付金を低所得者に支給することが検討されていますが、その額は3.5〜5 万円と見込まれる低所得者の負担増をカバーするものではありません。しかも、消費税率を10%に引き上げただけでは社会保障の税支出分を賄いきれず、税率を次々に上げていかざるをえなくなることは明らかです。私たちは、まず消費増税ありきの提案を野田政権が撤回し、税収を増やすために、不公正な税制を抜本的に改革し、富裕層およびグローバル企業への課税を強化することを求めます。公正な税制改革を実行した上でも、社会保障の財源が不足することが明らかになれば、消費税率を引き上げる必要が生じます。その場合には、逆進性を解消する軽減税率および給付付き税額控除をきちんと導入することが前提条件となります。消費増税は先にあってはならず、最後の手段なのです。< 事務局 > 〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-3-4 高円寺ビル404
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